2005年2月9日水曜日

「矯正を始める時期」について

ゲスト/つちだ矯正歯科  土田 康人 歯科医師

子どもの矯正を始める時期について教えてください。

 小学校に入る前は、すべてが乳歯で永久歯が生えていない乳歯時期になります。乳歯の不正咬合としては、受け口と呼ばれる反対咬(こう)合、出歯と呼ばれる上顎(がく)前突、奥歯は噛(か)んでいても前歯が開いた状態の開咬(かいこう)、歯並びが凸凹な状態の叢生(そうせい)、顎(あご)が左右どちらかに曲がっている顎偏位などがあります。反対咬合は、一番前歯が生え替わる時に、自然に治ることもあります。出っ歯や開咬は、主におしゃぶりの使用や指しゃぶりが原因なので、それらをやめて様子を見ます。いずれも、反対咬合と同様に上下の一番前歯が生えてくるまで、注意深く観察し、矯正が必要であれば治療計画を立てます。叢生は、小さな顎に大きな歯が生えているために、歯並びが凸凹の状態をいいます。永久歯が生えそろってから、歯を何本か抜いて治療することが一般的ですが、上下顎の一番前歯が生えてきた時期から治療を始めると、歯を抜かずに治せる可能性があります。矯正を始める時期については、いろいろな考え方がありますが、上下顎の一番前歯が生える、小学1、2年生からスタートするのが良いでしょう。

では、乳歯時期には様子を見るだけでいいのですか。

 乳歯時期の不正咬合で、一番問題になるのは、顎偏位です。原因は噛み癖やほおづえなど日常の癖で、成長するにつれて顎の曲がりが大きくなりますから、早いうちに治療しなければなりません。また、顎偏位を放っておくと、顎の成長に偏りが出て、片側の顎がどんどん成長し、もう一方の成長が抑えられて圧迫し、顎関節の痛みを伴う顎関節症になりやすくなります。成長してからの治療は期間も長く、治療自体も難しくなるので、顎偏位の場合は、乳歯時期から治療します。
 いずれにしても、子どもの咬み合わせや顎の状態に疑問、不安を感じたら、乳歯時期でも構いませんので、矯正専門医を受診してください。治療開始の時期も含め、総合的な視点で適切なアドバイスが受けられます。

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