2004年3月17日水曜日

「過剰な運動による症状」について

ゲスト/山口整形外科クリニック 山口 秀夫 医学博士

運動をやり過ぎても良くないことがあるのですか。

 健康増進を目的としての運動でも、やり過ぎるとトラブルを起こすことがあります。代表的なのは、「テニス肘(ひじ)」「ランナー膝(ひざ)」「ジャンパー膝」です。テニス肘は、テニス、バドミントンなどラケットを使うスポーツをやっている人の肘の外側が痛む症状です。重い物を持ったり、タオルを絞ったりすると肘に痛みが走り、ひどい時にはコップを持ったり、ドアノブを回すことさえできなくなります。手首を外側に回したり、そらせる筋肉は肘の外側に付いており、この筋肉を使い過ぎると、付け根に炎症を起こして痛みとなります。ランナー膝は、ランニングをする人に多く、膝の内側や外側が痛みます。膝を曲げる筋肉の腱(けん)は、膝の内側と外側に付いています。ランニングによって腱と骨が摩擦を起こし、炎症が生じます。ほかに軟骨や半月板の障害、疲労骨折などもランナー膝の原因として考えられます。ジャンパー膝は、バレーボール、バスケットボールなど、ジャンプを繰り返す運動をしている人に多く、膝の前方に痛みを覚えます。ジャンプ後着地をする時に、膝前方の腱には700~1000kgの力がかかります。このような大きな負担が繰り返しかかるため、腱に炎症を起こすのです。またこの症状は、特に運動をしていない成長期の子どもに起こることもあります。オスグット病と呼ばれ、10~14歳ころに多く見られます。

治療と予防方法について教えてください。

 患部を温めたり、低周波を当てる理学療法は効果があります。鎮痛剤のクリーム塗布も有効です。痛みが強い場合は患部に注射する場合もあります。何より肝心なのは、痛みがとれるまでスポーツを休むことです。予防方法としては、負担の少ないラケットやシューズを選ぶこと、運動前に十分にストレッチを行うことが大切です。ランニングでは腿(もも)を高く上げる、テニスでは手首を使わず腰と肩でラケットを振るなど、正しいフォームをマスターすることも必要です。スポーツを休んでも痛みがある場合は、重大な疾病が隠れている可能性もあるので、専門医を受診してください。

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