2002年6月19日水曜日

「C型肝炎」について

愛会内科・消化器科クリニック 高梨良秀 医師

C型肝炎について教えてください。

 C型肝炎とは、主に血液を介してC型肝炎ウイルスに感染し、肝臓で炎症を起こしている状態をいいます。このウイルスは1988年に発見され、翌年12月にはスクリーニング抗体検査が導入されたため、現在は一部の例外を除き、日常生活や医療行為で感染することはほとんどありませんが、次のような方は感染している可能性がありますので一度検査を受けることをおすすめします。1989年抗体検査導入以前に輸血を受けている方、以前針を換えずに行っていた時代に集団予防接種や注射などを受けた方などが代表的な例です。また感染原因不明例が約半数ありますので、肝機能障害を現在もしくは過去に経験している方も同様に考えた方が良いでしょう。今年の4月からすこやか検診でも導入されていますので利用するのも良い機会です。C型肝炎ウイルスは、感染しても自覚症状がほとんど無いため気が付かないことが多く、ウイルスの無症候性感染者(HCVキャリア)は全国に150~200万人いるといわれ、肝炎患者も含めると300~400万人ともいわれています。C型肝炎ウイルスに感染しそのまま放置すると慢性肝炎になり、肝炎が持続すると約20~30年ほどで肝硬変、肝ガンへ進行します。自然治癒することはまずありません。

治療法について教えてください。

 HCVキャリアの場合でも、いずれ肝炎を起こしてくるので、肝炎の方同様にその状態に適した定期的チェックと治療時期も含めた医師の指導が必要になります。実際のウイルスの排除にはインターフェロン療法が用いられていますが、治癒率は現在のところ約3割です。治癒率を上げるために長期投与法、抗ウイルス薬のリバビリンとの併用療法などが行われていますが、副作用や医療費の問題もありますので、専門医とよく相談し、本人の希望と病状に合わせた治療、健康管理を行うことが大切です。また、インターフェロン療法は、医師が肝臓の状態を常に把握し、治療時期を見極めることで効果が高まるので、定期的な検診を怠らないようにしてください。

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