2020年10月7日水曜日

脳神経外科で診るめまい

ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 院長

めまいについて教えてください。

 脳神経外科の外来では、めまいを訴えて受診される患者さんが多くいらっしゃいます。初めて経験するめまいは、患者さんにとっては大変恐ろしく感じられるものです。「天井がぐるぐる回った」「後ろに倒れそうになった」「立ち上がったら目の前が暗くなった」「地震かと思った」といった症状がみられますが、多様な病気の原因が考えられます。

 頻度が高いものは、内耳障害によるめまいですが、脳の障害によって起こる“怖いめまい”との鑑別が重要です。症状の強さだけで判断することは禁物で、めまいとともに言葉のもつれや手足の脱力・しびれが出ているようであれば、脳の障害が疑われます。脳の障害によるめまいは極力早く診断し、治療に入る必要がありますが、その際にはMRIによる画像診断が有用です。

高齢者のめまいについて教えてください。

 高齢者は、加齢に伴う平衡感覚の衰えや血圧を調整する能力の衰えなどがあり、めまいを起こしやすいです。糖尿病や高血圧などの持病を抱えている人は、飲んでいる薬が多いため、その副作用などでめまいを起こすこともあります。もともと耳鳴りがあったり、以前から難聴があったりするケースも少なくありません。このような状況の下にめまいが起こっても、必ずしも内耳に障害があるとはいえず、高齢者のめまいは原因を明らかにできない場合もあります。

 「起立性低血圧」とは、座った状態から立ち上がる時に血圧が急激に低下する病態をいいます。若い人の場合、顔が青ざめ冷や汗が出るなどし、失神してしまうケースもあります。高齢者では若い人のような激しい反応は起こりにくいとされていますが、一方で、加齢のため血圧を一定に保つ自律神経の働きが衰えているため、血圧が少し下がっただけでもめまいを起こしやすく、やはり立ち上がる際には注意が必要です。

 暑い時期は汗をかきやすいため、脱水からめまいを起こすこともあります。特に高齢者はのどの渇きを感じにくいので、脱水が生じやすいです。夜間にトイレに行く回数を減らそうと水分補給を控えてしまうと脱水を起こしやすいので、入浴前後や就寝前にはコップ1杯の水を飲むようにしましょう。

 漢方薬がめまいの症状に有効なことも多いです。めまいの症状でお悩みの方は、ぜひ医療機関にご相談ください。