2020年5月13日水曜日

緑内障

ゲスト/月寒すがわら眼科 菅原 敦史 院長

緑内障とはどのような病気ですか。
 現在、日本の中途失明原因のトップが緑内障です。眼球内の圧力である眼圧が上昇することで、視神経(乳頭部)が圧迫されて異常をきたし、見えない部分が出てきたり、視野が狭くなったりします。治療しても一度失われた視野が元に戻ることはなく、放っておくと失明につながるおそれがあります。日本人の40歳以上の20人に1人が、また、70歳以上の10人に1人が緑内障であると言われています。
 緑内障はじわじわと見えない部分が広がっていく病気です。片方の目に見えない部分があっても、両目で見ると互いの眼で見えない視野をカバーしてしまうため、失明寸前まで病気に気付かないことも多い病気です。
 緑内障を完全に予防できるような効果的な方法はありません。ただ、緑内障を早期に発見し、治療をきちんと受けて眼圧をしっかり管理できれば、多くの場合は失明にいたることはありません。早期発見と治療の継続が何よりも重要です。

診断と治療について教えてください。
 緑内障は眼圧が高い人だけの病気と思ってしまいがちですが、日本人の緑内障は正常眼圧緑内障のタイプが8割を占めます。視神経が弱いなどの原因で、正常な眼圧でも緑内障を発症してしまうのです。そのため診断には、眼圧検査に加え、視野や視神経の異常が分かる眼底の検査も欠かせません。40歳を過ぎたら一度は眼科に行き、視力、眼圧、視野、眼底の検査を受けることをお勧めします。
 眼圧が異常であっても正常であっても、緑内障の治療は眼圧を下げることです。点眼薬による薬物療法、レーザー治療、手術という主に3つの方法いずれか、または組み合わせで、眼圧を管理し、病気の進行を遅らせます。早期で発見できれば多くの場合、点眼薬のみで不自由なく生活を送ることができます。症状によっては2剤目、3剤目の点眼薬の処方が必要になるケースもあります。点眼治療で十分に眼圧が下がらなかったり、視野障害が進行したりする場合は、レーザー治療や手術を行います。
 外来で受けられるレーザー治療は、一般的には痛みがほとんどないと言われ、点眼治療にみられる目の充血などの副作用がなく、合併症リスクが少ない治療法として注目されています。点眼の回数が多くて大変である、手術を受けるのは怖い、という患者さんには大変有用な治療です。

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