2020年1月10日金曜日

慢性膵炎

ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 院長

慢性膵炎とはどのような病気ですか。
 膵臓に繰り返し炎症が起こることにより、膵臓の細胞が破壊され、膵臓が萎縮していく病気です。原因は、飲酒によるアルコール性慢性膵炎が全体の約3分の2を占め、原因がよく分からない特発性慢性膵炎が約2割を占めます。
 飲酒との関連は明らかですが、大量飲酒者の1〜2%しか慢性膵炎を発症しないことから、環境因子や体質などの素因も関係すると考えられています。喫煙が発症及び増悪に関係することも分かっています。胆石によるもの、消化酵素の遺伝子異常によるもののほか、最近、自己免疫性膵炎という特殊な原因と経過を示す慢性膵炎の存在も知られるようになりました。
 早期の症状は腹痛や背部痛が主で、吐き気や嘔吐、腹部膨満感・重圧感もみられます。膵臓の萎縮が進むと腹痛は軽減していくケースが多いです。その分、膵臓本来の働きが弱くなるので、消化酵素の分泌が低下し、体重減少や脂肪便、下痢などの症状がみられます。また、インスリンの分泌が低下し、糖尿病の症状が起こることもあります。
 強い腹痛とともに急性膵炎と同様の状態になることがあり「急性増悪」といいます。わずかなアルコールの摂取でも急性増悪の契機となります。暴飲暴食、天ぷらやカツなどの揚げ物、クリームやチョコレートなどの脂肪食も急性増悪の引き金になりやすいので注意が必要です。

診断と治療について教えてください。
 超音波検査やCT検査で膵臓に石灰化があれば慢性膵炎の診断が確定されます。内視鏡的膵管造影検査で特徴的な所見がみられた場合も確定診断がつきます。MRCP(MR胆管膵管撮影)検査の初見や膵外分泌機能検査なども診断の参考になります。
 急性増悪を起こすと膵臓の破壊が一気に進むので、治療に先駆けて急性増悪の予防が大切です。禁酒・禁煙、暴飲暴食を慎むこと、脂肪分の多い食事を避けることを日常生活で心掛けなくてはなりません。アルコール性慢性膵炎で禁酒を守れない場合には、ほかの治療を行ってもほとんど意味はありません。
 一般的な治療は対症療法になります。疼痛とともに血液中膵酵素の上昇を伴うような発作を繰り返す場合には、膵酵素阻害剤の内服を行い、疼痛に対しては鎮痙薬や消炎鎮痛薬の内服を行います。消化不良による症状がある時には消化酵素剤を適宜内服します。