2019年6月12日水曜日

抗不安薬について

ゲスト/医療法人社団 正心会 岡本病院 瀬川 隆之 医師

抗不安薬とはどのような薬ですか。
 抗不安薬は、不安や恐怖を和らげる薬です。不安や恐怖を感じることは、それ自体は異常なことではありませんが、日常生活に支障をきたすほど強くなると治療の対象となります。
 抗不安薬は簡単にいうと、脳の奥にある扁桃体と呼ばれる神経の集まりの興奮を抑えることなどにより効果をもたらします。抗不安薬の代表的なものとして、ベンゾジアゼピン系とその類似薬(BZ系薬)と選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の2つがあります。
 BZ系薬は効き目がはやく、不安や恐怖がとても強くて急を要する場合に欠かせない薬です。しかし、いったん飲み始めると薬をやめにくいという依存の問題や、眠気やふらつき、認知機能の低下といった副作用の問題があります。一方、SSRIは不安障害の治療の中心となる薬です。効果が現れるまで数週間を要しますが、BZ系薬と比較して依存性は高くありません。ただ、吐き気や眠気などの副作用が出現することがあります。また、急に薬をやめると吐き気、しびれ感などの中断症候群が出現する場合もあるので、薬を減らしたい時には主治医とよく相談してください。

処方・服用のポイントについて教えてください。
 BZ系薬、SSRIには、それぞれ長所・短所がありますので、不安や恐怖を主な症状とする精神疾患の治療においてはSSRIのみ、またはSSRIとBZ系薬の両方を使って治療を始め、BZ系薬を併用した場合にはSSRIの効果がみられ始める頃にBZ系薬を徐々に減らして中止するといった工夫が必要です。
 実際には、BZ系薬のみで治療を行う場合もあり、症状が強い時だけ即効性の抗不安薬を内服するといった頓服使用で生活している患者さんもいます。BZ系薬が多剤や大量処方になっている場合や、本来は薬を中止できる状態にもかかわらず処方が継続されているケースの時は、依存や副作用について患者さんとよく話し合いながら、BZ系薬の減量を目指します。しかし、薬を減らすことへの不安を持つ患者さんも多く、減薬が難しいこともあります。BZ系薬は即効性という大きなメリットがあるため、医療者、患者さん双方に使い勝手のいい薬なのですが、依存や副作用の危険性についてはよく理解しておく必要があるでしょう。