2014年12月10日水曜日

肺炎球菌ワクチン


ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 院長

肺炎球菌感染症とはどのような病気ですか。
 肺炎球菌によって起こる病気には、肺炎、気管支炎などの呼吸器感染症をはじめ、副鼻腔(びくう)炎、中耳炎、髄膜炎、菌血症などがあります。中でも成人肺炎の20%〜40%は肺炎球菌が原因であり、特に高齢者の重篤化が問題となっています。また、本来であれば菌が検出されない場所(血液や脳脊髄液など)から菌が見つかる病態(髄膜炎、菌血症など)を、特に侵襲性肺炎球菌感染症と呼びます。同感染症は、65歳以上の高齢者と5歳以下の乳幼児に多く発症することが知られています。
 細菌による感染症は抗生物質によって治療しますが、近年は抗生物質の効かない薬剤耐性菌が増えているため、治療が困難になっているという問題があります。そこで、ワクチンによって病気をあらかじめ予防することが以前にも増して大切になってきています。現在、肺炎球菌感染症を予防するワクチンは、「23価肺炎球菌多糖体ワクチン」と「13価肺炎球菌結合型ワクチン」の二つが発売されています。

肺炎球菌ワクチンについて教えてください。
 23価肺炎球菌多糖体ワクチンは、1回の接種で23種類の肺炎球菌の血清型に対して免疫をつけることができます。現在、肺炎球菌は90種類以上の血清型が報告されていますが、この23種類の血清型で成人の肺炎球菌による感染症の80%以上がカバーできます。接種対象者は2歳以上で、肺炎球菌による重い疾患にかかる可能性が高い人です。個人差はありますが、1回の接種で5年以上の効果が期待できます。
 2歳以下の小児では免疫の働きが未熟であるため、肺炎球菌の多糖体に対して抗体をつくることが難しく、23価肺炎球菌多糖体ワクチンを接種しても十分な免疫をつけることができません。そこで、小さな子どもにも免疫をつけられるよう工夫されているのが、13価肺炎球菌結合型ワクチンです。このワクチンは、13種の血清型の肺炎球菌による侵襲性肺炎球菌感染症の予防に用いられます。肺炎球菌による小児の同感染症の約70%をカバーできるという報告があります。 13価肺炎球菌結合型ワクチンの接種の対象となるのは、65歳以上の高齢者と生後2カ月以上6歳未満の小児で、標準として生後2カ月以上7カ月未満で接種を開始します。