2013年8月7日水曜日

裂肛(れっこう)について


ゲスト/札幌いしやま病院 西尾 昭彦 院長

裂肛とはどのような病気ですか。
 痔(じ)のなかで裂肛(切れ痔)は女性に多い病気です。裂肛を引き起こす原因の多くは便秘で、硬い便や太い便を無理に出そうとすることによって肛門上皮(便が通過する部分の肛門の皮膚)が裂けてできます。症状は排便時の痛みが主で、出血はないか、あっても少量です。一度裂けた傷は排便の度に伸ばされるため治りにくく、痛みが続くようになります。痛みが嫌で排便を避けるようになると、便がますます硬くなり、症状を悪化させるという悪循環が生じます。
 裂肛の症状が進み慢性化すると、傷が深くえぐれて潰瘍化していきます。肛門ポリープと呼ばれる突起物ができたり、肛門が狭くなったりして、排便時の苦痛が増します。また、肛門の括約筋がけいれんを起こすことで、さらに痛みがひどくなる場合もあります。トイレの中で気が遠くなるという患者さんもいるほどです。

裂肛の治療について教えてください。
 裂肛の治療は、便を軟らかくして排便を楽にする内服薬や、排便時の痛みを抑えるための塗り薬、肛門に注入する座薬、軟こうなどの外用薬が中心です。市販薬もありますが、裂肛に合うもの合わないものがあるので、一度専門の医療機関を受診し、正しい診断の下で適した薬を処方してもらうべきでしょう。
 傷の治療を行いながら、生活習慣を改善して便通を整えることも裂肛治療では大切です。朝食をきちんと取る、水分や植物繊維を十分に取る、便意を我慢しない、適度な運動をするなど、便秘を防ぎ、硬すぎず軟らかすぎない“質の良い便”を出す生活を心掛けてください。半練り状の便で、息むことなく、すんなりと排便できる状態が理想です。
 傷が深い、肛門が狭いなどの慢性化した裂肛になると、薬などの保存治療では治らず、手術治療が必要になります。硬くなった肛門の括約筋を切開する手術が一般的ですが、当院では麻酔をした上で肛門に指を入れ、括約筋が正常な状態になるまでマッサージして引きのばす治療も行っています。その際、肛門ポリープがあれば、同時に切除します。入院の必要も、痛みもなく、短時間で治療できるというメリットがあります。
 恥ずかしさから受診をためらわれている方も多いようですが、治療により痛みのない快適な生活を取り戻せることをぜひ知ってほしいと思います。