2013年8月14日水曜日
子どもの歯科矯正治療
ゲスト/宇治矯正歯科クリニック 宇治 正光 院長
子どもの矯正治療について教えてください。
お子さんの歯並びに矯正が必要かどうか迷われる人も多いと思います。歯並びを確かめる方法の一つとして、お子さんの口元を顔の正面から観察してみてください。上下の前歯の真ん中の位置が一致していれば安心ですが、ずれている場合は、矯正の必要があると考えられます。出っ歯や受け口など、上下の顎が前後に大き過ぎたり小さ過ぎたりという骨格的な問題は、一般の方でも気付きやすいのですが、左右のずれは発見しにくいものです。
前後あるいは左右にずれが認められる場合は、顎骨(がっこつ)の成長コントロールが可能な9〜10歳までに行うのが理想的です。就寝時にバイオネーターと呼ばれる機能的顎(がく)矯正装置を装着し、寝ている間にずれた顎の骨を中央に移動させます。子どもの成長の力を利用して、無理なく自然にバランスのよい骨格をつくれます。痛みはほとんどなく、取り外しが可能で、日中は装着の必要がありません。ずれの程度にもよりますが、装着期間は半年〜1年が平均で、経過観察のための通院は、1〜3カ月に一度が目安となります。
ずれの原因はさまざまですが、歯そのものがずれているケースもあり、永久歯がそろってからでも治療は可能です。その場合は抜歯する可能性が高くなりますが、きれいに治療できることが多いです。判断は非常に難しいので、一度専門医にご相談ください。
家庭でチェックするための別の方法はありますか。
頬づえやかみ癖、就寝時の姿勢が左右どちらかに大幅に偏っている場合などは、左右のずれを引き起こす原因になることがあります。上下の前歯の位置を確認したら、次は鼻の先端を基準に、鼻の中央に前歯の中心が沿っているかを見てください。ずれの原因は一見して分かるものではなく、万が一、骨格のずれを歯のずれと勘違いして放っておくと、矯正に最適な成長時期を逃してしまうので注意が必要です。
子どものうちの悪い歯並びやかみ合わせを放置していると、成長に伴い虫歯や歯周病の原因となったり、顎関節にも悪影響を及ぼす恐れがあります。また、大人になってから心理的なストレスの原因となる場合もあります。少しでもおかしいと感じたら、早めに専門医に相談することをお勧めします。歯科矯正は自由診療となりますので、費用についてもその際に問い合わせてみてください。
人気の投稿
-
<不登校について教えてください> 不登校の小中学生が2023年度、過去最多の約29万人に上りました。当院の思春期外来でも、受診理由で一番多いのは不登校です。 不登校は大きくは、「行きたくないので、行かない」と「行きたいけど、行けない」の2つのタイプに分かれます。
-
<機能性ディスペプシアについて教えてください> ディスペプシアとは、「胃痛」「胃もたれ」「むかつき」などの不快な腹部の症状を指す医学用語です。これらの症状が続き、検査をしても胃潰瘍や胃がんなどの異常が認められない場合を「機能性ディスペプシア(FD)」と呼びます。
-
<骨粗しょう症について教えてください> 骨の組織では、古い骨を壊して吸収する働きと、吸収された場所に新しい骨を形成する働きが繰り返される「骨代謝」が行われています。骨粗しょう症は、骨代謝のバランスが崩れて骨がもろくなる病気です。