2013年4月3日水曜日

ヘリコバクターピロリ菌(ピロリ菌)


ゲスト/佐野内科医院 佐野 公昭 院長

ピロリ菌について教えてください。
 ヘリコバクターピロリ菌(ピロリ菌)は胃の中にいる細菌です。1983年にオーストラリアの医師であるウォレンとマーシャルによって発見されました。彼らはこの功績により2005年にノーベル賞を受賞しています。
 胃には強い胃酸があるため、通常の菌は生息できません。しかし、ピロリ菌は特殊な酵素を利用し、周辺の胃酸を中和することによって身を守っています。
 日本では約3500万人がピロリ菌に感染していると推定されています。ピロリ菌の感染率は衛生環境と相関すると指摘され、若い世代の感染率は急速に低下しています。ピロリ菌の感染経路はまだはっきり解明されていませんが、経口感染が主な経路と考えられています。
 ピロリ菌に感染すると胃に炎症を起こして慢性(萎縮性)胃炎となったり、胃・十二指腸潰瘍を繰り返したりします。また、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病などの病気や胃がんの発生にも関係していることが分かってきました。

ピロリ菌の除菌について教えてください。
 ピロリ菌の除菌に関するガイドラインでは、ピロリ菌関連疾患の治療のため、全ての感染者に除菌を勧めています。除菌により潰瘍の症状の改善や再発の予防、胃がんの予防に効果が期待されているからです。
 除菌が保険適用となるのは、胃・十二指腸潰瘍などの病気にかかっている場合に限られますが、新たに「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」でも除菌できるようになりました。ピロリ菌に感染していること、内視鏡検査により慢性胃炎の所見があることの両方を確認することが条件になります。
 除菌は胃酸の分泌を抑える薬と二種類の抗生物質を、朝と夕の一日二回、一週間続けて服用して行います(一次除菌)。下痢や味覚異常などの副作用が出る場合もありますが、軽微なものがほとんどです。この方法で約80%の人が除菌に成功します。失敗した場合には抗生物質の種類を変えてもう一度治療(二次除菌)します。どちらも治療して4週間以上の期間をあけて除菌が成功したかどうかを確かめるための検査を行います。
 なお除菌に成功すると胃がんになる危険性は減りますが、リスクがゼロになるわけではありません。早期のがんが見つかることもありますので除菌後も定期的な検査は受けた方がよいでしょう。