2012年12月12日水曜日

マイコプラズマ肺炎


ゲスト/医療法人社団 大道内科・呼吸器科クリニック 大道 光秀 院長

マイコプラズマ肺炎とはどのような病気ですか。
 マイコプラズマ肺炎は、かつては4年ごとのオリンピックの年に流行するといわれていましたが、最近では毎年のように流行しています。1999年に発生動向の調査を開始して以来、今年は過去最高の患者数が報告されています。
 原因となるマイコプラズマは、正式には「肺炎マイコプラズマ」という名前の微生物で、細菌より小さく、ウイルスより大きく、細菌にもウイルスにもない性質を持っています。ウイルスはヒトの細胞の中でしか増えませんが、マイコプラズマは栄養があればヒトの細胞外でも増えていきます。
 初期の症状は、倦怠(けんたい)感、のどの痛み、発熱などがあり、インフルエンザの症状と似ています。3〜5日たつと頑固なせきが始まります。乾いたせきが徐々にひどくなり、解熱後も長期にわたって(3〜4週間)持続します。時期によっては痰(たん)が出ることもあります。肺炎にしては元気で、一般状態も悪くないことが多いのですが、一部に重症肺炎となる場合や、胸水がたまったり、髄膜炎や多発神経炎を発症したりする場合もあります。また、肺炎にならなくても、マイコプラズマによる気管支炎のためひどいせきが1カ月以上続くことがあり、気管支ぜんそくや咳ぜんそくなどと鑑別が困難なケースもあります。

マイコプラズマ肺炎の治療と予防について教えてください。
 一般的な細菌感染症に使われるペニシリンやセフェム系などの抗生物質は、細菌の外側にある細胞壁を壊して、細菌を殺す作用を持つため、細胞壁のないことが特徴のマイコプラズマに対しては効果がありません。このため、マクロライド系抗菌薬やテトラサイクリン系抗菌薬、ニューキノロン系抗菌剤が有効となります。
 近年、マクロライド系抗菌薬に耐性を持つマイコプラズマの割合が増加しつつあります。しかし、耐性菌で発症した場合でも、マクロライド系抗菌剤を続けて飲めば、熱などの症状が数日長引きはしますが、効果はあります。テトラサイクリン系抗菌薬、ニューキノロン系抗菌剤は耐性菌に効きますが、小児の場合は副作用があり、子どもには使いにくい薬です。
 予防策は、かぜやインフルエンザと同じで手洗い、うがいを励行し、せきの症状がある場合には、マスクを着用するようにしてください。