2010年9月8日水曜日

「誤嚥(ごえん)性肺炎とその予防」

ゲスト/白石内科クリニック 干野 英明 院長

誤嚥性肺炎とはどのような病気ですか。
 水分や食物を飲み込んだときに、食道に入っていかずに気管に入ってしまうことを誤嚥といいます。唾液(だえき)や、胃から食道への逆流による誤嚥によって、肺の中で細菌が増殖すると肺炎が起こります。これを誤嚥性肺炎と呼びます。
 寝たきりの人に多い誤嚥ですが、健康な人でも加齢に伴う喉頭(こうとう)の筋肉の衰えなどにより起きやすくなります。誤嚥性肺炎は、何らかの疾患を持ち、免疫力が低下している人に発症しやすい傾向があります。原因となる疾患としては、脳梗塞(こうそく)や脳内出血、パーキンソン症候群、アルツハイマー型認知症、口腔(こうくう)・咽頭(いんとう)・喉頭の疾患、胃食道疾患などがあげられます。誤嚥は一度発症すると治療が困難になることもあるので、予防が重要になります。

誤嚥性肺炎の予防について教えてください。
 脳梗塞などの脳血管障害では、神経伝達物質のドーパミンの生成が低下し、嚥下にかかわるサブスタンスPという物質が減少します。その結果、嚥下機能と咳(せき)反射の低下をきたし、誤嚥しても咳をして吐き出す力が落ちて、誤嚥性肺炎につながります。予防はパーキンソン病治療薬の塩酸アマンタジンやアンジオテンシン変換酵素阻害薬という高血圧の薬などによって、ドーパミンの生合成を促進させ、咳反射を改善させることができます。
 口腔内の問題としては、清潔度を保つための歯磨きと歯茎のマッサージが大切です。歯茎をマッサージすると血行が良くなり、唾液の分泌が促進され、嚥下反射も改善されます。胃から食道への逆流を防ぐには、ゆっくりとよくかんで食べ、食事が終わってもすぐに横にならずに、2時間くらいは座った状態を保持することです。また、平らな状態で寝ていると逆流が起きやすいので、就寝時には少し上半身を起こすだけでも誤嚥性肺炎の予防になります。平素から胃腸を良好な状態に保ち、便秘にならないようにして、なるべく食物が胃に滞留しないようにすることも重要です。
 誤嚥をしたら咳をして吐き出すことが大切ですが、咳をするには腹筋の力が必要です。日ごろから腹筋を使うような運動を心掛けてください。また、高齢者の人は食事量が減ることで、タンパク質の減少とともに筋肉の衰えが出やすいので、普段から栄養を十分に取るようにしましょう。