2009年3月25日水曜日

「前立腺がん」について

ゲスト/芸術の森泌尿器科 斉藤 誠一 医師

前立腺がんについて教えてください

前立腺がんは欧米に多い病気とされてきましたが、最近では食生活が欧米化したことと高齢化社会になったことから、日本でも急激に増加しています。アメリカでは男性のかかるがんで一番多く、6人に1人が前立腺がんになっているといわれています。この病気を撲滅するために、国をあげて取り組んだ結果、アメリカでの前立腺がんによる死亡は3分の1減少しました。このようにアメリカで前立腺がんの死亡率が大きく減少した理由のひとつに、PSA(前立腺特異抗原)という血液検査により早期がんを発見し、早期治療が行われたことが挙げられます。同様にオーストリアのチロル地方では住民検診にPSA検査を取り入れ、死亡率が大きく減少しました。
特に最近はPSA検査での正常値を従来の4.0から2.5に下げて、より早期にがんを発見し、早期治療を行おうという報告があります。今まで正常とされてきた2.5から4.0の間でも25%の人にがんが検出されます。その中で従来の正常値とされていた4.0の人に、かなりがんの進行が見られる例が30%以上存在しました。

治療法について教えてください。

治療は手術、放射線、薬、経過観察と多岐にわたっています。診断と治療が確立して死亡率が下がることは朗報ですが、日ごろから前立腺がんにならないように予防することも大切な要素です。前立腺がんを予防するためには、脂肪を控え、大豆、トマト、ブロッコリーなどの緑黄色野菜や緑茶を多く取ることがよいとされています。このような食生活を送っている地域では、実際に前立腺がんの発生は少ないのです。
しかし現在の日本の食生活では、今後前立腺がんの増加は明らかです。40歳を過ぎたら、1年に1度はPSA検査を受けましょう。特に身内で前立腺がんになった人がいる方は要注意です。早期発見、早期治療を行えば、前立腺がんは恐い病気ではありません。専門医を受診し、積極的に検査を受けることをお勧めします。

2009年3月18日水曜日

「しわの治療方法」について

ゲスト/緑の森皮フ科クリニック  森 尚隆 医師

しわについて教えてください。

寒い季節は、外気の湿度低下や新陳代謝能力の低下などにより、肌が乾燥しやすくなります。特に目元・口元は皮脂の分泌量が少ないため、かさつきやすく、しわの心配をされる方も多いのではないでしょうか。
 しわ予防の対策の基本は、第一に水分補給です。乾燥から肌を守るということがとても大切なので、化粧水や美容液などを使って十分に保湿して下さい。部屋の暖房は控えめに、加湿することを心掛けてください。
 肌の新陳代謝は睡眠中やリラックスした状態で活発になるので、ストレスをためず、睡眠を十分に取り、食事はバランスよく、特にビタミンCを取るように心掛けて下さい。ビタミンC摂取は、風邪予防とともに、しわの防止にもつながります。

できてしまったしわの治療法はありますか。

顔全体のしわやたるみが気になるのであれば、赤外線領域の波長の光を照射し、コラーゲンの生成を促し、皮膚を引き締める「ソレラタイタン」という治療法があります。同じ光治療で、しみや赤ら顔の改善に効果が高い「フォトセラピー」も、肌の再生力を高めるのに有効です。最近注目されている治療法として、肌のリセットを目的とした「マイクロニードルセラピー」があります。極細針で皮膚に無数の穴を開け、薬剤を皮膚に直接吸収させることでコラーゲンが増え、肌を入れ替えるというものです。
部分的なしわの治療法としては、自分自身の血液を精製し血小板や白血球を濃縮して、気になる部分に注入する「白血球含有多血小板血漿(けっしょう)」注入療法があります。この血小板の中には、グロスファクターと呼ばれる多機能な成長因子が含まれており、組織の修復、コラーゲン産生、ヒアルロン酸産生、血管内皮細胞の増殖や新生などを促進して、肌の細胞を再生します。
できてしまったしわやくぼみに対しては、直接ヒアルロン酸やコラーゲンなどを注入する補充療法が行われています。このように、さまざまな方法がありますので、しわの悩みは専門医やかかりつけの美容皮膚科医へ相談されることをお勧めいたします。

2009年3月11日水曜日

「動脈硬化症と糖尿病」について

ゲスト/青木内科クリニック 青木 伸 医師

動脈硬化症について教えてください。

動脈は本来弾力性があるものですが、動脈壁に脂肪などが沈着したり、動脈壁の筋肉に弾力のない繊維が増えたりすると硬くなります。血管の内側に粥(じゅく)状の塊(かたまり)ができ、血管が狭くなり本来の働きが悪くなります。また、塊を覆う繊維性皮膜が破れると、中の粥状のものが血管に流れ出て、血栓となって血液の流れを止めてしまいます。心臓の血管が詰まると心筋梗塞(こうそく)、脳では脳梗塞、足では壊疽(えそ)になります。動脈硬化症は生命にかかわる重大な病気ですから、早期に診断、治療を行う必要があります。動脈硬化症による重篤(じゅうとく)な症状を避けるには、粥状の内容物を減らすことと、内容物を覆っている繊維性皮膜を丈夫にすることが大切です。

予防方法を教えてください。

動脈硬化症は、主に生活習慣病の合併症として現れます。危険因子である糖尿病、高脂血症、高血圧症をきちんと治療し、管理していくことが大切です。日本には非常に多くの糖尿病患者、そして予備軍がいます。軽度のうちは自覚症状が無いため、「血糖値が高い」といわれても放置している人が多いのですが、糖尿病のかたは2~3倍も動脈硬化になりやすいといわれています。動脈硬化症から、脳梗塞、心筋梗塞に至ることがあり、高血糖が原因で十数年後に腎不全(透析)、失明など重篤な症状に発展する場合もあります。治療は主に投薬と日常生活の中での数値管理です。過去1~2カ月間の平均血糖値を表すHbA1cの正常値は5.8%以下ですが、糖尿病患者の場合、この値を6.5%以下にしておくと血管の余病は出ません。また、糖尿病患者の約半数は高脂血症や高血圧症を合併しています。コレステロール値や中性脂肪値などにも注意を払うことが必要です。定期的な通院を続け、適切な投薬と数値管理を行えば、それまで通りの生活を送ることができます。
生活習慣病は遺伝的要素も強く、家族に糖尿病や高脂血症の人がいる場合は、若者でも注意が必要です。また、食事を野菜中心の和食にするなど、日常生活を見直してみてください。

2009年3月4日水曜日

「女性の薄毛」について

ゲスト/たけだ皮膚科スキンケアクリニック 武田 修 医師

女性の薄毛について教えてください。

薄毛というと男性の悩みというイメージがありますが、最近は女性で悩んでいる方も増えています。髪の毛は、健康な人でも1日100本程度は抜けています。それ以上の脱毛の場合、びまん性、分娩(ぶんべん)後、牽引(けんいん)性、批糠(ひこう)性、脂漏性(しろうせい)などが考えられます。
 中でも女性の薄毛で一番多いのは、びまん性脱毛症で、頭部全体の髪が均等に脱毛して、毛髪が薄くなります。原因としては老化、ストレス、過剰なダイエット、ピルの服用、過度のヘアケアなどが挙げられます。分娩後脱毛症は、女性ホルモンのバランスによるもので、通常は産後1年以内に戻ります。牽引性脱毛症は、ポニーテールなど頭髪が継続して過度に引っ張られることが原因です。髪型を頭髪に負担の掛からないスタイルにすれば、自然に回復します。批糠性脱毛症は乾燥したフケを伴う脱毛症で、過度の洗髪や洗浄力の強いシャンプーによる皮脂の取りすぎが原因です。脂漏性脱毛症は、皮脂の過剰分泌によって頭皮が炎症を起こした状態で、食生活の向上やシャンプーを正しく使うことで改善します。

治療法、予防法について教えてください。

それぞれの脱毛の原因を取り除くことが大切です。服用する男性用育毛剤が病院で処方されるようになって、「自分にも」と受診する女性が増えていますが、女性には効果が期待できません。育毛用サプリメントや育毛剤で、実績のあるものを試してみてもいいでしょう。ただし、効果は人それぞれなので、自分に合ったものを見つけて継続することが肝心です。薄毛の正しい診断とその治療を行っている皮膚科で相談することをお勧めしますが、診察は保険適用となりますが、原因が病気に起因するものの治療以外には保険は適用されません。
規則正しい生活、バランスの良い食生活、ストレスの発散など、髪に良い習慣を心掛けるのも重要です。特に、肌や髪が作られる午後10時~午前2時までの睡眠は大切です。
髪に良い栄養としては、タンパク質、鉄分、亜鉛、ビタミンB群、ビタミンA、C、Eなどがあります。シャンプーも1日1回、就寝前が適切です。