2006年11月8日水曜日

「長引く咳(せき)とマイコプラズマ肺炎」について

ゲスト/大道内科・呼吸器科クリニック 大道 光秀 医師

激しい咳が長引く疾患について教えてください。

 長引く咳の原因としては、結核や気管支喘息(ぜんそく)、アトピー咳嗽(がいそう)のほかに、百日咳、マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎などが考えられます。夜中や朝方に咳が多いのは、咳喘息やアトピー咳嗽、百日咳である可能性が強く、マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎の場合は、通常1日中咳が出ます。
 百日咳は、通常2歳以下の幼児に頻発する病気ですが、最近、大人での急性あるいは長引く咳の原因として注目を集めています。夜中に多く、発作性で激しい連続性の咳に引き続き、吸気時にヒューと音がしたり、嘔吐(おうと)したりします。大人から子どもへの感染も懸念されます。
 クラミジア肺炎は、微生物であるクラミジア・ニューモニアに感染することによって発症します。発熱後に激しい咳が3~4週間続きます。
 どちらもきちんと治療すれば、予後は良好ですが、治癒するまで数週間かかります。また、体力のないお年寄りや乳幼児は重症化することもあるので、入院治療が必要になる場合もあります。百日咳、クラミジア肺炎の流行性は、そう大きくありません。

マイコプラズマ肺炎はどうですか。

 最近になって、感染者が増えているのはマイコプラズマ肺炎です。微生物であるマイコプラズマ・ニューモニアに感染することによって発症します。かつては4年ごとのオリンピックの年に流行するといわれていましたが、最近では毎年のように流行しています。発熱後に激しい咳が長く持続します。
レントゲンで、陰影が出る場合は、マイコプラズマ肺炎を推定できますが、出ない場合はマイコプラズマ感染による咳と咳喘息やアトピー咳嗽との鑑別が必要となります。血液検査でマイコプラズマ抗体が陽性であれば診断できますが、抗体が陽性化するのに1~2週間かかりますので、初診時には推定のみとなります。一般的な細菌性肺炎は、体力のない高齢者や乳幼児がかかりやすいのですが、マイコプラズマ肺炎は、健康な大人でも罹患(りかん)します。多くの細菌に有効で、頻用されているセフェム系抗生剤が無効で、マクロライド系やテトラサイクリン系、ニューキノロン系抗菌剤が有効です。
家庭内で子どもと大人、職場などで大人と大人間の感染が見られますので、「子どもの病気」「大人はかからない」と思い込まず、乾いた咳が長く続く場合は専門医を受診してください。一度治癒しても、再感染することがありますから、流行期には、手洗い、うがいを徹底しましょう。

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