2006年8月2日水曜日

「過活動膀胱(ぼうこう)と腹圧性尿失禁」について

ゲスト/芸術の森泌尿器科 斉藤誠一 医師

過活動膀胱について教えてください。

 過活動膀胱とは、男女を問わず、尿意が急に起こったり、抑えられなくなること(尿意切迫感)があり、さらに1日8回以上おしっこに行ったり(頻尿)、我慢することができない(切迫性尿失禁)などの症状がある場合を指します。膀胱炎や膀胱癌(がん)が原因の場合は除きます。
 高齢者人口の増加に伴い、頻尿、尿意切迫感や尿失禁の症状を持つ患者さんが増加し、大きな問題として世界的に注目されています。こうした情勢を受けて、2002年に「過活動膀胱」という新しい疾患の概念が提唱されました。患者数は極めて多いことが明らかですが、治療を受けている人はごくわずかです。「年齢のせいで仕方がない」「病院に行くのは恥ずかしい」「お産をすれば誰でもなる」「尿もれパッドやおしめをすればよい」といったあきらめ感や、羞恥(しゅうち)心などで治療を受けずにいます。おかしいと思ったら、恥ずかしがらずに、ぜひ専門医を受診してください。改善すれば、快適な生活を送ることができます。
 実際の診療では、病歴、診察、お腹から超音波の機械を当てる残尿測定、おしっこの検査が必要になります。排尿日誌(排尿の時間と排尿量)や水分摂取の記録も、診察する上で非常に役立ちます。治療としては、飲み物の飲み方や種類の変更、排尿を我慢するなどの行動療法だけで改善する場合もありますが、薬物による治療が中心になります。

腹圧性尿失禁について教えてください。

 女性の約3割が尿失禁を経験しているともいわれていますが、ほとんどがせきやくしゃみ、お腹に力を入れた際におしっこが漏れるという症状です。これは腹圧性尿失禁といって、骨盤の筋肉が緩むために起こります。複数回の出産経験がある、婦人科の手術を受けた、運動不足、肥満などが原因です。改善する方法としては、まず、骨盤底筋体操といって、肛門(こうもん)を閉じたり開いたりする運動をします。肛門、膣(ちつ)、尿道の筋肉は、どれか一つを鍛えると全部が鍛えられます。それでも改善しない場合、投薬による治療になります。ほかにペッサリーによる治療もありますが、どうしても治らない場合、最終的には手術が必要になることもあります。
 おしっこは、夜一度も起きずに、よほど水分を取らない限り4時間は我慢したいものです。最近は副作用の少ない良い薬が出ていますので、まずは専門医を受診し、相談することをお勧めします。