2006年7月5日水曜日

「咽喉(いんこう)頭酸逆流症(LPRD)」について

ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳典弘 医師

咽喉頭酸逆流症について教えてください。

 胃酸が食道に逆流することによって起きる、さまざまな症状を総称して「胃食道逆流症(GERD)」と呼んでいます。主に、「胸やけ」「げっぷ」などの食道症状と、「狭心痛」「持続するせき」「咽喉頭異常感」などの食道外症状に大きく分けられます。LPRDは食道外症状の中でも、「のどがイガイガする」「詰まった感じがする」「飲み込みにくいように感じる」などの咽喉頭異常感や、「声が出しづらい」「声がかすれる」などの発声障害を主な症状とする耳鼻咽喉頭領域の疾患です。
胃酸の逆流によって耳鼻咽喉頭領域に症状を生じるメカニズムとして、咽喉頭へ逆流した胃酸による「直接障害説」と、食道への逆流が迷走神経を介した反射を起こすことによる「反射障害説」がありますが、まだはっきりと解明されていません。

LPRDの診断と治療について教えてください。

 診断は、胃酸の逆流を証明するために食道の入り口付近に電極を置いてpHを測定する「24時間pHモニタリング」という方法がありますが、実際の診察では、内視鏡検査による咽喉頭を含めた食道粘膜の状態を観察する方法が多く用いられます。内視鏡検査で異常が認められず、しかしLPRDの可能性が否定しきれない場合は、胃酸の分泌を強力に抑えるプロトンポンプインビター(PPI)を服用してもらい、症状が改善すれば治療的診断とすることがあります。
 治療に関しては、胃から食道への逆流を予防するために、油っこいもの、甘いものを控え、食後すぐに横にならないようにするなどの食生活の改善、肥満の解消、腹圧がかかるような前かがみの姿勢にならないなど、生活習慣の改善を行います。薬物療法としては、PPIによる内服薬が中心となりますが、咽喉頭は酸への感受性が一般に高く、食道症状を訴える患者さんより治療が難しい場合が多いです。しかし、ほとんどの場合生活改善と薬物療法でコントロールが可能です。症状がなかなか消失しない患者さんの場合は、ストレスなど心因的な要素が加わっている場合も多いので、抗不安薬や漢方薬を併用するのも、一つの方法です。