2002年6月26日水曜日

「乳児の発熱」について

ゲスト/札幌東豊病院 若松章夫 医師

乳児の発熱について教えてください。

 乳幼児の体温は大人の体温より一般に高く、36.5~37.5度程度であれば、平熱の範疇(はんちゅう)として考えていいでしょう。それ以上であれば、発熱と考えられます。発熱した場合、真っ先にしてほしいことは、着ている服を1、2枚脱がせる、掛けている布団類を減らすことです。乳児の体温は、周囲の温度に左右されやすく、室温が高かったり、厚着をさせたりすると、体温が上昇することがよくあります。「熱があるようだから、暖かくしなくては」「汗をかかせて熱を下げよう」という方法は間違っています。熱がこもってしまい、かえって熱が下がらなくなります。手足が冷たい場合は靴下などで暖めて、体は薄着にさせて1~2時間様子を見てください。室温も暑過ぎないように、適温に調整してください。夜間の乳児の初めての発熱では、両親が驚いて、救急外来や夜間診療の病院などに駆けつけることも多いのですが、赤ちゃんの調子が悪いときに、バタバタと動くことの方が悪影響を及ぼすことも多いのです。救急外来で別の病気をもらうことも考えられます。機嫌が良く、母乳やミルクをいつも通り飲んでいれば、まず心配ないので、朝まで待ってから、かかりつけの小児科を受診するようにしてください。赤ちゃんが心地よさそうであれば、ジェルタイプの冷却シートや水まくらなどで、おでこや頭を冷やしてあげてもいいでしょう。また、生後3カ月程度までは解熱剤を使わない方がいいと考えられます。熱が下がり過ぎることによる影響の方が心配です。

赤ちゃんの発熱の原因は何だと考えられますか。

 たいていの場合は風邪です。乳児は母親から免疫を受け継いでいるので、生後しばらくは風邪をひかないと考えられていますが、実際にはひきます。兄、姉が風邪のウイルスを家に持ち込み、接触すれば感染する可能性もぐっと上がります。「乳児だから免疫がある」と過信せず、感染者との接触や人ごみを避け、抵抗力の弱い赤ちゃんを守ってあげてください。

乳児の発熱で特に気を付けることは何ですか。

 生後3カ月未満の乳児の発熱の場合、肺炎、敗血症、髄膜炎、尿路感染症などの重篤な病気が隠れていることがあります。夜間に発熱し、朝になって症状が落ち着いた状態であっても、必ず小児専門医を受診してください。

2002年6月19日水曜日

「C型肝炎」について

愛会内科・消化器科クリニック 高梨良秀 医師

C型肝炎について教えてください。

 C型肝炎とは、主に血液を介してC型肝炎ウイルスに感染し、肝臓で炎症を起こしている状態をいいます。このウイルスは1988年に発見され、翌年12月にはスクリーニング抗体検査が導入されたため、現在は一部の例外を除き、日常生活や医療行為で感染することはほとんどありませんが、次のような方は感染している可能性がありますので一度検査を受けることをおすすめします。1989年抗体検査導入以前に輸血を受けている方、以前針を換えずに行っていた時代に集団予防接種や注射などを受けた方などが代表的な例です。また感染原因不明例が約半数ありますので、肝機能障害を現在もしくは過去に経験している方も同様に考えた方が良いでしょう。今年の4月からすこやか検診でも導入されていますので利用するのも良い機会です。C型肝炎ウイルスは、感染しても自覚症状がほとんど無いため気が付かないことが多く、ウイルスの無症候性感染者(HCVキャリア)は全国に150~200万人いるといわれ、肝炎患者も含めると300~400万人ともいわれています。C型肝炎ウイルスに感染しそのまま放置すると慢性肝炎になり、肝炎が持続すると約20~30年ほどで肝硬変、肝ガンへ進行します。自然治癒することはまずありません。

治療法について教えてください。

 HCVキャリアの場合でも、いずれ肝炎を起こしてくるので、肝炎の方同様にその状態に適した定期的チェックと治療時期も含めた医師の指導が必要になります。実際のウイルスの排除にはインターフェロン療法が用いられていますが、治癒率は現在のところ約3割です。治癒率を上げるために長期投与法、抗ウイルス薬のリバビリンとの併用療法などが行われていますが、副作用や医療費の問題もありますので、専門医とよく相談し、本人の希望と病状に合わせた治療、健康管理を行うことが大切です。また、インターフェロン療法は、医師が肝臓の状態を常に把握し、治療時期を見極めることで効果が高まるので、定期的な検診を怠らないようにしてください。

2002年6月12日水曜日

「きれいな歯を保つためには」について

ゲスト/庄内歯科医院 庄内淳能 歯科医師

健康的な白い歯を保つためにはどうしたらいいでしょうか

 歯が変色する要因としては、虫歯によるもののほか、たばこやお茶などの色が付着する場合、また補綴物(ほてつぶつ)の変色、歯と人工物の境目が露出して変色して見える場合などがあります。補綴物の変色の場合は詰め替え、かぶせ替えで、きれいにできます。金属やプラスチックより、瀬戸やセラミックを素材にした方が、変色はしづらいでしょう。もちろん、どんな素材でも、しっかりケアしなくては美しさを保てません。お茶、コーヒー、たばこのヤニなどによる、エナメル質の表面の着色は、PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)によって除去することができます。しかし、PMTCだけではきれいにできないエナメル質の奥にまでしみこんでしまった汚れには、ホワイトニングが効果的です。ホワイトニングとは、エナメル質の中にある有色素成分を直接分解する方法で、歯を傷つけることなく汚れのみを落とします。

ホワイトニングはどのような方法で行いますか。

 歯科医で行う「インオフィスホワイトニング」と、歯科医の指導のもと、自宅で行う「アットホームホワイトニング」があります。どちらも酸素漂白で基本的には同じですが、薬品の濃度が異なるため、要する時間が違います。インオフィスホワイトニングは1、2回の通院、アットホームホワイトニングであれば、上と下の歯で4週間程度かかります。どちらの方法が適しているか、歯科医と相談して決めるといいでしょう。ホワイトニングというと、審美的な面だけで捉(とら)えられがちですが、本来、歯というのは、虫歯が無いことはもちろん、歯並びや咬(か)み合わせも含めて、人前で躊躇(ちゅうちょ)なく笑顔になれる、自信を持てる口元であること、それが健康な歯といえます。健康できれいな歯を保つためには、治療のほか、ブラッシング指導や、歯に関する悩みを親身に聞いて、一緒に考えてくれる掛かりつけの歯科医を見つけることが一番の近道だと思います。

2002年6月5日水曜日

「花粉症」について

ゲスト/おおやち耳鼻咽喉科クリニック 金澤勲 医師

本州では春先のスギ花粉による花粉症が有名ですが、
北海道にもあるのでしょうか。

 春の北海道の花粉症は、シラカバによるものが大半で、時期的には本州より遅い4月中旬過ぎから5月下旬にかけて多く認められます。鼻風邪と症状が似ていますが、鼻、目のかゆみが強く、いつまでも水様性の鼻汁が続くときは、耳鼻咽喉科で診察を受けてください。花粉症が疑われるときは、血液検査などで比較的簡単に原因を調べることができます。シラカバ花粉症の終わるこれからの時期は、カモガヤなどの牧草類による花粉症も多く、油断できません。また、シラカバ花粉症の患者さんには、リンゴ、桃、サクランボなどの果物を食べると、口や喉がかゆくなったり、場合によっては腫(は)れたりする果物アレルギーを合併している場合も多く、注意が必要です。

具体的な防止策、治療法を教えてください。

 花粉の飛散量は、風が強く、よく晴れた日に増加しますから、そのような日は外出を控えたり、部屋の窓を開けないようにした方がいいでしょう。外出先から戻ったら、うがいをしたり、着ていた衣類を外でよく払うなどの配慮も必要です。また外出時にマスクをすることも予防効果があります。ただし防止策だけでは、どうしても限界がありますので、症状がつらい時には様々な薬剤を用いて治療する必要がでてきます。治療の中心となる内服の抗アレルギー剤は症状をやわらげ、最近では眠気が非常に少なく飲みやすいものも増えています。鼻づまりがひどい場合は、ステロイド剤や血管収縮剤などの点鼻薬が有効な場合が多いのですが、つけるとすぐ楽になるからといって、市販されている血管収縮剤を自己流で無節操に使用していると、もっと重症な鼻づまりになる可能性がありますので注意してください。毎年、花粉症に悩まされている方は、原因になっている花粉が飛び始める2週間前くらいから、予防的に抗アレルギー剤を内服すると、そのシーズンの症状が軽減されるといわれていますので、早めに耳鼻咽喉科を受診してみてください。