2015年1月28日水曜日

緑内障と禁忌薬について


ゲスト/札幌エルプラザ 阿部眼科 阿部 法夫 院長

緑内障の禁忌薬について教えてください。
 目の奥の視神経が侵され、視野が欠損する緑内障。40歳で50人に1人、70歳以上では10人に1人がかかっているとされ、社会の高齢化に伴い、緑内障の患者数はますます増加することが予想されています。
 緑内障の治療中に患者さんからの問い合わせが多いのは、薬に付いてくる説明書き(医薬品添付文書)にある「禁忌」についてです。他医療機関で処方された薬などに付いてくる説明書きに、「緑内障患者は使用しないでください」と書いてあることがありますが、それを見て驚いて相談に来る人も多いです。
 緑内障は大きく分けて「原発開放隅角(ぐうかく)緑内障(正常眼圧緑内障を含む)」と「原発閉塞隅角緑内障」の二つのタイプがあります。前者が緑内障の約90%、後者が約10%を占めます。瞳を開く(散瞳・さんどう)作用のある抗コリン薬や交感神経刺激薬のほとんどは、緑内障に禁忌とされていますが、実は緑内障の中でも原発開放隅角緑内障の場合は服用しても特に問題ありません。つまり、緑内障の患者さんの約90%は、これらの薬に制限を受けないのです。
 ただし、緑内障治療を受けている患者さんが、ご自身の緑内障の区分を明確に認識しているケースは少ないので、薬のことで心配になったら、かかりつけの眼科医の指示を仰ぐようにすることが大切です。

急性緑内障とはどのような病気ですか。
 原発閉塞隅角緑内障の場合、時として一気に眼圧が上昇し、放置すれば短時間で失明に至る急性緑内障を起こすことがあります。自覚症状としては視力低下、目のかすみ、眼痛、頭痛、嘔吐(おうと)などです。早急な治療が必要ですが、脳神経や胃腸の病気などと見誤られることも少なくなく、脳外科や内科を受診し、治療が遅れるケースも目立ちます。
 加齢による水晶体厚の増大が原因の一つと考えられていますが、薬物摂取、多量の飲水、長時間のうつ伏せ姿勢、精神的動揺などによる散瞳で誘発されることもあります。遠視で小柄な中高年の女性に発生頻度が高いとされています。
 治療は、急激に高くなった眼圧を下げるために、レーザーで虹彩の周りに穴を開けたり、人工水晶体を移植したり、狭くなった隅角を広げる虹彩手術などが行われます。

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