ゲスト/札幌エルプラザ阿部眼科 阿部 法夫 医師
花粉症時のコンタクトレンズ使用について教えてください。
道内は地域によって多少のバラつきはあるものの、3月のハンノキから、5月シラカバ、6月イネ科植物と次々と花粉症シーズンが到来します。花粉飛散時期に花粉症の症状があっても、約半数以上の方はコンタクトレンズ(以下CL)を使用し続けているのが実態です。
目の自覚症状はかゆみ、充血、流涙、眼脂、異物感、CLの曇り・見づらさ・上方移動・装用感の悪化などです。もともとCL装用に起因する乳頭状結膜炎(上まぶた裏にゴロゴロした多数の腫瘤(しゅりゅう)状のものができる)があると、さらに重篤な症状になる方もいます。このような重篤なケースはすぐにCLを装用中止にするのが原則ですが、個々人の事情や職場環境もあり、中止できないという方が多いのが現状です。
一方、軽症の場合は比較的アレルギーに強いタイプのCLの開発もされています。これに点眼液、洗浄、装用時間などを工夫すれば、なんとか乗り切れる場合もあります。また、耳鼻科やアレルギー科などで治療を受けていると、目の症状も緩和されることがあります。
予防法、治療法を教えてください。
例年、同じ季節に花粉症を起こしている場合、眼科領域でも2週間前からの抗アレルギー薬の予防的点眼で、症状を軽減させることが報告されています。実際、発症前に点眼液を希望される方も増えています。原則は、飛散が多い日には花粉防止用メガネ(ゴーグル型)や無理をせず使用中のメガネへの切り替えが無難です。防腐剤フリーの人工涙液の頻回点眼も花粉の洗い流しに有効です。
どうしてもCLを使用したい場合、1DAYタイプの使い捨てレンズが理想です。2週間・1カ月タイプ、ハードCLを使用する場合、入念なこすり洗いの励行、装用時間の短縮が必要ですが、洗っても完全には取れないと理解してください。さらに、抗アレルギー薬やステロイドの点眼も必要で、CLを装用していると点眼できないものもあるので、かかりつけの眼科医に相談する必要があります。
いずれにしても、乳頭状結膜炎のような重篤なものは、やはり装用を中止して治療に専念すべきです。