2008年10月8日水曜日

「手足のしびれ」について

ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 医師

手足のしびれについて教えてください。

「しびれ」を訴えて脳神経外科を受診する患者さんが増えています。脳梗塞(こうそく)など脳血管疾患の症状ではないか?と心配されている方が多いです。「しびれ」の症状は、医療機関を受診するかどうか悩むところだと思いますが、長く続いたり、だんだんと悪化するようであれば受診した方が良いでしょう。特に、急にしびれが起こって持続する場合は早急に受診する必要があります。
 脳の病気によるしびれとしては、脳梗塞などの脳血管疾患が考えられますが、発症が急で、その後持続するしびれが特徴です。例えば、片側の手と口周囲のしびれが同時に起こる場合がありますが、これは手口症候群といって、脳の中の視床という場所の病気で起こります。脳梗塞の好発部位でもあり、このような症状には注意が必要です。

しびれが起こる部位によって疾患は異なりますか。

頚(けい)髄性のしびれでは、頚椎(けいつい)症や椎間板(ついかんばん)ヘルニアによるものも多いですが、この場合はしびれの個所が神経の分布に沿うことが多く診察によって推定することができます。しびれだけではなく、筋力の低下などが見られると手術が必要になる場合もあります。頚椎病変に対しても従来のレントゲン撮影に加えてCTやMRIなどにより、椎間板の変形や神経の圧迫などがより正確に診断できるようになりました。
下肢のしびれでは、腰椎疾患や閉塞(へいそく)性動脈硬化症があります。閉塞性動脈硬化症の場合は、しびれや痛みが歩行時に起こり、しばらく休むと軽くなります。これを間欠性破行といいます。血管の動脈硬化による病気なので、症状が進むようであれば、血管外科での治療が必要になります。同じように間欠性破行が見られるものに腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症があり、この場合は立っている姿勢がつらく、前かがみになったり、屈んだりすると楽になります。
頚椎、腰椎などが原因で起こる慢性的なしびれや痛みに関しては、安静療法や薬物治療、ブロック注射やマッサージなどを行います。症状が悪化するなら手術が必要になる場合もあるので、専門医に相談するといいでしょう。

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