2005年6月8日水曜日

「白内障」について

ゲスト/大橋眼科 大橋 勉 医師

白内障の症状、治療について教えてください。

 眼球の中でピントを合わせる働きをするレンズ部分(水晶体)が濁るために起きる視力障害が、白内障です。40歳以上の方に多く、最も多いのが加齢に伴う老人性白内障です。眼(め)のかすみ、霧がかかったような視力低下、明るい場所で見えにくいなどの自覚症状があります。治療としては、点眼薬が主に投与されますが、老化現象の1つなので、最終的には手術が必要になります。

白内障の手術はどのようなものですか。 

 日本で行われている白内障の手術は年間80万件、眼科手術の約8割に及ぶといわれています。現在最も行われている手術は水晶体を包んでいる袋を残し、袋の中の濁りを超音波を利用して細かくして取り除き、その袋の中に人工レンズを挿入するものです。まだ日本では承認されていませんが、最近では袋の中で動いてピント合わせのできるレンズなど、より高性能なレンズの研究開発も盛んです。手術自体は安全性の高いものですが、患者さんによって眼の状態はさまざまなので、同じ白内障の手術でも難易度に差があります。手術のしにくい眼とは、小さい眼や奥眼(おくめ)、角膜の濁りがある眼、袋を支えている糸が弱い眼などです。最も合併症が起きやすいのが、進行して真っ白になった白内障です。進行した白内障の濁りは非常に固く、超音波で細かくすることができにくかったり、袋を支える糸が弱いことが多く、袋が破れて、濁りが眼の中に落下するような合併症が起こる可能性が高くなります。
 最近よく見かけるのは、片方の視力が良いため、進行した白内障を放置されている方が多いことです。進行は左右バラバラなので、「片目が見えるから」と放っておかず、早めに検査を受けることをお勧めします。白内障手術の合併症で怖いのは、術後に眼内でばい菌が繁殖し、網膜自体が死んで失明に至ることがまれにあります。これは1万人に1人という珍しい状態です。白内障手術はあまり進行しないうちに手術を受けた方が、合併症が少なく予後が良好です。気になる人は、経験豊富な専門医で早めに受診することをお勧めします。

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