2004年6月9日水曜日

「性感染症、最近の傾向」について

ゲスト/札幌東豊病院 前田信彦 医師

性感染症の最近の傾向について教えてください。

 性感染症とは、性的接触が主な原因となって、人から人に感染し、発症する疾病を指します。淋(りん)病、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、HIV(エイズウイルス)感染など、20種類を超える疾患があります。最近は、性の自由化、活発化、多様化に伴い、若年層を中心に急増する傾向が見られます。
 特に、最近増加しているのが、クラミジアです。妊娠を契機に感染の有無を検査すると、若い妊婦の約2割が感染しているというデータもあります。クラミジアは感染してもほとんどの女性に症状が出ないため、まん延しているようです。しかし、女性がクラミジアに感染し、気付かずに放置していると、卵管の炎症を招き、不妊や子宮外妊娠の原因となるほか、妊婦が感染している場合、新生児に結膜炎や肺炎などのクラミジア感染が発症するケースもあります。また、淋病も女性ではなかなか症状が現れないため、症状が進行するまで気付かないケースが見られます。
 尖圭(せんけい)コンジローマは、ヒト乳頭腫ウイルス(ヒトパピローマウイルス)の感染によるもので、男性の包皮、亀頭部、女性の陰唇、尿道口などにイボができます。ヒトパピローマウイルスには約80もの種類があり、その中に子宮頚(けい)がんの原因となるものがあります。ヒトパピローマウイルスに感染し、体質や生活習慣などと併せ子宮頚がんを発症する場合があります。若年層の子宮頚がん患者が増えている背景には、性感染症をはびこらせる温床に目を向けなければなりません。

性感染症を予防の注意点を教えてください。

 妊娠を避けるためであれば、ピルは有効ですが、性感染症を予防するためには、必ずコンドームを使用することが大切です。10代の若者に性感染症が増加しているという事実を考えると、高校生になってからの性教育では遅すぎます。中学生から、性の問題をタブー視することなく、学校、家庭で真剣に話し合う場を設けてください。1人ひとりの危機管理意識を高め、性感染症を防ぐことが重要です。また、子宮頚がんやエイズなど重大な病気を予防するためにも、積極的な検診が必要です。

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