2003年12月17日水曜日

「糖尿病性腎症」について

ゲスト/青木内科クリニック 青木 伸 医師

糖尿病性腎症について教えてください。

 糖尿病は、さまざまな合併症を引き起こすことで知られています。その代表的なものの1つが腎症です。糖尿病性腎症は、腎臓の細小血管が高血糖によって狭くなり、老廃物をろ過できなくなるために起こります。高血糖のほか、肥満や高タンパク、塩分の取り過ぎなどが加わると病状の進行が一段と早くなります。腎症が腎不全まで進行すると、人工的な装置で腎機能を代行する透析療法を受けなければ、生命を維持できなくなります。日本では、糖尿病が原因の人工透析患者が年々増加しており、1998年以降、透析患者に占める糖尿病性腎症患者の割合が第1位になっています。また、糖尿病によって透析治療まで進んだ場合、残念ながらその後の経過も楽観できるものではありません。

糖尿病性腎症を予防するにはどうしたら良いですか。

 糖尿病は決して珍しい病気ではありません。40歳以上の日本人の6人に1人は糖尿病といわれています。糖尿病自体は、初期に血糖コントロールをきちんと行っていれば恐ろしい病気ではないのです。しかし、これといった自覚症状がないため、受診しなかったり、治療を中断したり、生活習慣を改めなかったりすると、本人が気付かないうちに進行し、血管に負担がかかり、腎不全をはじめ、足の切断や失明など深刻な合併症に至ります。検診などで血糖値が高いと指摘されたら、必ず専門医を受診してください。主な治療は投薬と、日常生活の中での血糖値及び血圧の管理です。糖尿病を進行させないためには、HbA1c(過去1~2カ月の平均的血糖値)を6.4%以下、血圧を130/85以下に維持します。高血圧治療で大事なことは、血圧を正常にすることと、腎臓病を予防することですが、最近は血圧を下げる薬のうち、腎臓病を予防できる薬も登場してきています。もちろん、余病を防ぐには食事療法や軽い運動も必要です。対処が早いほど、つらい思いをせずに長期に支障なく生活できます。血糖値が高い、糖尿病の疑いがあるといわれたら、信頼できる主治医のもと、自身の病気を理解し、積極的に向き合うことが肝心です。

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