2019年9月4日水曜日

大人のADHD(注意欠陥多動性障害)

ゲスト/医療法人五風会 さっぽろ香雪病院 岩﨑 大知 医師

近年、大人になってから発覚するADHDが注目されています。
 ADHDは「注意欠陥多動性障害」という発達障害の一種で、不注意、多動・衝動性を特徴としています。子供の問題として知られていますが、半数近くは成人になっても症状が続くといわれています。子供の時に問題とされていなくとも、大学生や社会人となり、それまでより高度な能力が必要とされて初めて症状を自覚する場合があります。代表的な症状として「話を聞く時や作業時に集中力を保てない」、「会話の道筋が分からなくなる」、「物事の段取りを立てるのが苦手」、「ケアレスミスや忘れ物が多い」、「大事な約束をよく忘れる」などがあります。落ち着きがない・衝動的な行動をとるなどもADHDの症状ですが、成人ではそれらは目立たなくなっていることがあります。また成人のADHDの方はうつ病、不安症、物質依存(酒、タバコ、薬など)などを合併している割合が高いといわれています。それらの症状で受診した際に、背景にあるADHDが見つかる場合もあります。

治療について教えてください。
 治療にあたって、まずは自身の特性を理解していただきます。成人で受診する方の多くは「生きづらさ」を自覚しており、自己評価を低く持ちがちです。諸々の問題が精神発達によるものだと理解することは、自己評価を修正し、対策を考えるきっかけとなります。例えば時間や約束事の管理が下手と分かっていれば、スマートフォンのアプリなどを駆使して能力不足を補うことで、ある程度問題が解決する場合もあります。ADHDはある種のホルモンの異常が原因ともいわれており、それらを整える薬を使用して改善する場合もあります。心理療法を用いた訓練が有効な場合もあります。症状により周囲との関係に支障を来たしている場合は親や配偶者への心理教育、大学や職場の担当者との意見交換も重要となります。発達障害者への支援を行う機関や精神障害者保健福祉手帳(ADHDの診断で取得可能となっています)を利用していただくことも出来ます。
 誰もが長所と短所を持っており、ADHDの症状はその一つの側面と考えています。短所と上手く付き合い、長所を伸ばすことで自信を持って生活出来るようになっていただくことが我々の目標です。必ずしも薬や定期通院が必要となるわけではありませんので、気になる症状がある方は気軽に専門医に相談してほしいと思います。