2018年3月14日水曜日

痔の原因と予防

ゲスト/札幌いしやまクリニック 西尾 昭彦 院長

痔について教えてください。
 痔とは肛門部分の疾患の総称で、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)の3つで外来患者さんの約8割を占めます。
 痔核はいぼができる場所によって、外痔核と内痔核に分類されます。外痔核は肛門の皮膚部分に血栓(血豆)ができるなど痛みを伴います。便秘で力んだり、重いものを持ったりした時に起こります。内痔核は肛門の内側の粘膜にできます。肛門の出口から数センチのところに「クッション」と呼ばれる柔らかい部分があり、水道の蛇口のゴム栓のような役割を果たしていますが、このクッションが腫れたり緩んだりした状態をいいます。トイレが長いことなどで、肛門部分の血液の流れが悪くなり、うっ血をきたすことが主な原因です。痔核ができると肛門は、便と痔核の区別ができなくなり、残便感からトイレが長くなりがちで、さらに痔核が大きくなるという悪循環になります。根治療法として、切らずに治す注射療法と外科手術があります。
 硬い便が肛門の内側の皮膚を傷つける裂肛は、痔の中でも痛い病気の代表格です。裂肛も「痛いからトイレを我慢する→便が硬くなる→切れる」という悪循環になります。繰り返し切れて傷が硬くなると、慢性の状態に移行してしまい手術が必要になるケースもあります。
 肛門の内側の皮膚と、その奥の直腸の粘膜のつなぎ目には、「肛門小窩」というくぼみがあります。このくぼみから入った細菌が炎症を引き起こし、肛門や直腸周囲に膿瘍をつくるのが痔瘻です。治療は、膿瘍のうみが外に出る際につくられるトンネル(痔瘻管)を切除する手術が必要です。

痔の予防法はありますか。
 痔核はトイレを短くすること、裂肛は便が硬くならないようにすること、痔瘻は、下痢をしないことが予防で重要です。良い便を短い時間で出すためには、規則正しい食生活、食物繊維や発酵食品の摂取、適度な水分補給を心掛け、腸内フローラのバランスを整え、おなかの状態を良好にしておくことです。
 それでもおしり・おなかの調子が悪い時は、早めに病院で受診することをお勧めします。痔核の約8割や急性期の裂肛は手術せずに治ります。痛い思いや恥ずかしい思いをするケースはほとんどないことを知ってもらえればと思います。