2015年7月1日水曜日

発達障害


ゲスト/医療法人五風会 さっぽろ香雪病院 江川 浩司 副院長

発達障害とはどのような病気ですか。
 発達障害とは、相手の感情を考慮することができなかったり、集団の中で他人と違う反応をしたりするなど、社会性や想像力、コミュニケーションに障害があるとされる「自閉症、アスペルガー症候群などの広範性発達障害」、落ち着きがない「注意欠陥多動性障害」、読み書きや計算など特定分野が苦手な「学習障害」などの総称です。生まれつきの脳機能の障害が原因とされますが、詳しい仕組みは分かっていません。子どもの頃に症状が現れることが多いですが、思春期や青年期以降、その特性が目立つようになることもあります。また、複数の障害を併せ持つ人もいれば、一つだけの人もいます。
 発達障害は主に他人とのコミュニケーションが取りづらかったり、特定の物事に強くこだわったりするのが特徴ですが、外見では分かりづらい障害のため本人や周囲が原因に気付かないことも多いです。発達障害と認識しないまま、職場や日常生活で困難に直面している人も少なくありません。その結果、自覚がないまま相手を怒らせたり、職場で孤立したり、また「周りの人たちには普通にできることが、自分にはできない」と過度に自分を責めてうつ病など二次障害に至るケースもあります。

治療について教えてください。
 正しい診断を受けることが出発点になります。診断は、専門医が面談や検査を行いながら、時間をかけて総合的に判断します。現在のところ発達障害を根本的に治す治療法はありません。治療の目指すところは、症状を緩和させたり、環境を変えたり、周囲の人にサポートを求めたり、どうすれば日常生活の困難を減らせるかをさまざまなアプローチで探っていくことになります。その人の特性に合ったライフスタイルを一緒になって探していくのです。
 発達障害は次第に認知されてきましたが、「生きづらさ」に対する社会の理解は十分に深まっていません。何より大切なのは、周囲が発達障害についてよく理解することです。障害を特別なものととらえずに、正しい知識や対応の仕方を知ってください。発達障害の人たちは不得手がある一方、得意の分野において他人との違いを生かしたスペシャリストとして活躍する例も少なくありません。周囲の支援やちょっとした配慮で、その能力を生かすこともできるのです。

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