2014年11月12日水曜日

テニス肘


ゲスト/医療法人社団 恵信会 環状通東整形外科 堀田 知伸 院長

テニス肘とはどのような病気ですか。
 テニス肘は正式には「上腕骨外側上顆炎(じょうかえん)」といいます。肘の外側の骨の出っ張り部分が痛くなる病気です。拳を強く握ったり、手首を反らせたりすると痛みを感じます。テニスやゴルフなどのスポーツ、パソコンなどの仕事や日常生活で腕をよく使う人に多くみられます。
 テニス肘は、腕の筋肉が肘の骨にくっついている部分(腱)に負荷がかかり、微小な損傷(炎症)を起こすのが原因と考えられています。加齢が大きな発症要因となり、40代〜60代の中高年に多く発生しています。年齢が高まるにつれ、筋力の柔軟性や腱の弾力性が低下し、炎症を引き起こしやすい状態となっているためです。

テニス肘の治療について教えてください。
 安静が基本です。日常生活では強く握る動作やタオルを絞る、重たいものを持ち上げるなどの動作をなるべく避けるようにします。その上で、初期には手首を上に持ち上げる筋肉に負担をかけないよう、肘の近くを固定するサポーターを付けたり、肘を伸ばし手首を曲げて筋肉を伸ばすストレッチングなどを行います。症状が強い患者さんには、痛みの出る部分にステロイド剤を注射します。注射は痛みの緩和には有効ですが、病気が治るわけではありません。繰り返し打つと体への負担も大きいので、2、3回までにしておく必要があります。
 このような保存治療で、多くの方は快方に向かい、数カ月〜半年で痛みがとれてきます。しかし、中には保存治療が効かず、痛みが慢性化、難治化するテニス肘もあります。これは、腱の断裂を起こしている可能性が高い症例で、MRIで診断がつきます。半年以上痛みが強く、日常生活や仕事に支障が出る場合は、手術も選択肢の一つになります。以前は外からメスで切って断裂部を処置する方法が主流でしたが、当院では体への負担が少ない関節鏡による手術を行っています。数ミリ程度の穴から肘の関節内に関節鏡を入れ、断裂部位を処置します。手術時間は40分程度、入院期間は2〜3日間。関節鏡手術で難治症例のうち約9割が回復に向かいます。
 テニス肘にあまり神経質になる必要はありませんが、強い痛みに悩まされている場合は、スポーツ障害、特に肘に詳しい医師に相談してみることが賢明です。

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