2013年10月9日水曜日

ストレス社会を生き抜くために


ゲスト/医療法人社団五稜会病院 千丈 雅徳 院長

ストレス社会を生き抜くために必要なことは何ですか。
 私たちが、ストレスあふれる現代社会を生き抜いていくために大切なのは「心の安全地帯」です。今日の出来事をみんなで一緒に喜び、あるいは泣いて、傷ついた心を癒し、スッキリとして、明日からまた新たな一歩を踏み出していけるような人間関係や場所。そんな「心の安全地帯」がどうしても必要です。
 誰もが皆、程度はさまざまですが、不安感を抱え、緊張感の中で生きています。しかし、それをそのまま受け取らないで、10倍にも100倍にも膨らませてしまう人もいます。また、現代社会では効率を重視するあまり、何事についても「早く、早く」とせかされる場面が多く、失敗は許されない、ペナルティーが待っているなどの不安をあおり立てられます。時間に追われると、焦ってしまい、冷静さを失い、できることにも手が付けられなくなります。不安が大きくなると、客観的に自分を見る力を失っていきます。
 「心の安全地帯」とは、不安感や強い緊張感に支配されても、いつでも逃げ込める場です。優しい言葉を掛けてくれる気心の知れた人がいて、ホッと一息つける場、痛みそうな心を癒やしてくれる場です。混乱した考えを整理することができ、「大丈夫、何とかなりそうだ」という気持ちにしてくれる場です。そして、世の荒波に立ち向かっていこうという勇気を与えてくれる場です。「頑張り過ぎない自分でいてもいいんだよ」と言ってもらえる「心の安全地帯」があってこそ、先の見えにくいこの社会の中でストレスを抱えながらも立っていることができるのです。
─「心の安全地帯」とは、具体的にはどのような人間関係や場所のことをいいますか。
 一言でいうなら、気の休まる人間関係や場所のことです。家族と一緒にいる時が最もリラックスできるという人もいれば、友人と遊んでいる時や一人で読書をしている時がストレスを発散できる、落ち着くという人もいるでしょう。また、自宅の居間、自分の部屋が一番癒やされると感じる人もいれば、お気に入りの喫茶店が一番ゆったりくつろげるという人もいます。
 「心の安全地帯」は、家族や友人、自宅や行きつけのお店以外でも、今日から、ここから広げていくことが可能です。例えばインターネットによるコミュニケーションもリスクは伴いますが、賢く利用することで、お互いの気持ちを受け止め合って、応援し合える仲間と出会うことができるかもしれません。
 ただし、「心の安全地帯」は特定の人やグループに限定しないことも大事です。いつも離れずにべったりとくっついている関係は、やがて息苦しいものになったり、予期せぬ負の感情(嫉妬やねたみ)が生じさせたりする可能性があるからです。また、あまりに多くの人と知り合って、かえって煩わしくなるのも考えものです。
 なかなか「心の安全地帯」を持てない場合は、心療内科や精神科でカウンセリングという形で行われる治療手段を利用するのも一案です。