2013年4月10日水曜日

大腸がん


ゲスト/やまうち内科クリニック 山内 雅夫 院長

大腸がんが増えていると聞きましたが。
 厚生労働省の調査によると、日本の大腸がん患者はこの50年間で男性は約7倍、女性は約6倍に増加しています。2003年以降は、女性のがん死亡原因の第1位ともなっています。大腸がんは今後ますます増え、15年には胃がんと肺がんを抜き、部位別のがん死亡率でも首位になるのではないかと懸念されています。
 これまで欧米に多かった大腸がんが、日本でも増加した原因としては、食生活の欧米化により、動物性脂肪の摂取が増えたことなど、生活習慣の比重が大きいと考えられています。
 大腸の壁は内側から粘膜層、粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)に分かれます。がんは粘膜層で発生し、粘膜下層、固有筋層へと広がっていきますが、粘膜層にとどまるがんならほぼ100%治ります。また、進行したがんでも手術が可能な時期であれば、他臓器への転移が見られても完治の可能性があります。
 大腸がんの初期はほとんど自覚症状がなく、発見されにくいですが、胃がんや食道がんなど他の消化器がんと比べて進行が遅く、転移も少ないので、定期検査による早期発見が非常に有効ながんだといえます。

大腸がんの検査と治療について教えてください。
 代表的なのは健康診断などで行われる、便潜血検査です。肉眼では見えない出血も、この検査で分かります。陽性と判断されたら、バリウム検査(注腸造影検査)や大腸内視鏡検査を行います。近年は精度の高い内視鏡検査が主流となっています。検査器具も技術も進歩しているので、以前に比べ苦痛が軽減されてきています。症状の有無によらず、定期的な便潜血検査、内視鏡検査をお勧めします。
 治療は、内視鏡治療、外科治療(手術)、抗がん剤を使った化学治療などがあります。粘膜層にとどまる早期の大腸がんであれば、内視鏡による切除で治すことができます。内視鏡の先端に専用の器具を取り付け、がんを切り取ります。粘膜層を越えて広がったがんが見つかった場合は外科治療となります。一般的な開腹手術以外に、最近では腹腔(ふくくう)鏡を使ってカメラが映す画像を見ながら、手術器具を操作する腹腔鏡下手術が増えています。この手術は腹部の傷が小さいため、患者さんの体の負担が少なく、術後も傷が目立たないという利点があります。