2012年11月7日水曜日

認知症


ゲスト/医療法人五風会 さっぽろ香雪病院 西 裕 医師

認知症とはどのような病気ですか。
 認知症は、いったん発達した知能が、さまざまな原因で持続的に低下し、記憶障害がひどくなり、生活に支障を来たすようになった状態のことを示します。
 原因別にいくつかの種類に分類され、代表的なのが「アルツハイマー型認知症」で、患者さんの約6割を占めます。「アミロイドβ」というタンパク質が脳に蓄積することで、脳が萎縮して起きるとされています。物忘れを主な症状に、数年から十数年かけて緩やかに進行します。次に多いのが、脳梗塞や脳出血など脳卒中が原因で発症し、階段状に憎悪、進行するとされる「脳血管性認知症」で、全体の約2割を占めます。
 症状は認知症の種類や人によって異なりますが、初期には記憶障害が現れ、進行するにつれ妄想や徘徊(はいかい)、攻撃的行動などの精神症状・行動異常を伴う場合が多いです。よくみられるのが「物盗(と)られ妄想」です。財布の置き場所を忘れてしまうのですが、忘れた自覚がないので「誰かに盗まれた」と被害妄想を抱くようなケースをいいます。
 多くの認知症には根本的に治療する薬がないので(アルツハイマー型認知症には進行を緩和する薬があります)、治療は病気の進行を遅らせることが重要になってきます。過去の記憶について語り、脳の活性化につなげる「回想療法」や音楽を通して脳を刺激する「音楽療法」などの療法が行われることがあります。

認知症患者に対する接し方、向き合い方について教えてください
 家族の方に気になる症状が現れたとしても、受診させるのを躊躇(ちゅうちょ)してしまうケースや、本人も自分が認知症であることを認めたくない気持ちが強く、病院に行きたがらないケースも多いです。対応として、健康診断的な面を強調するなど、本人のプライドを傷つけない配慮をしつつ受診を勧めるようにしてください。受診を先送りにすればするほど問題は大きくなりがちです。早期に治療すれば、穏やかに生活できる時間を長くすることができます。
 もし認知症と診断されたら、症状の進行によっては市町村の窓口で介護保険制度に基づく申請を行いましょう。認定された要介護度の程度に応じて、訪問介護、通所介護、短期入所生活介護などの介護支援サービスが受けられます。認知症の介護は長期に及びます。家族間で問題を抱え込まず、医師、看護師、福祉関係者など専門家と相談していくことが大切です。