2005年6月15日水曜日

「歯ぎしりと昼間の噛(か)みしめ」について

ゲスト/石丸歯科 石丸俊春 歯科医師

歯ぎしりと噛みしめについて教えてください。

 歯ぎしりというと、睡眠中にキリキリと不快な音をたてるというイメージがありますが、食事以外で上下の歯の異常な接触「噛みしめ」を含めて、ブラキシズムと呼ばれています。ブラキシズム習癖は決して珍しいものではなく、90%以上の人に見られ、ほとんどの場合は問題なく生活しています。しかし最近ブラキシズムによって、さまざまな病状を訴える患者さんが増えています。原因の一つはストレスと考えられています。

就寝時の歯ぎしりについて教えてください。

 就寝時の歯ぎしりは、一緒に寝ている人が週に5回以上の歯ぎしり音を確認した場合が診断基準となります。歯の痛みや摩耗(まもう)など、悪影響がある場合はナイトガード(歯ぎしり防止装置)の装着など治療方法も確立しています。また、子どもの歯ぎしりは、乳歯と永久歯の混合時によくあることなのでほとんど心配する必要はありません。

昼間の噛みしめとはどんな状態でしょうか。

 音がしないので自覚がないまま、歯の痛み、摩耗、破折、歯肉炎、歯周炎、顎(がく)関節症などの原因となっていることがあります。さらに、顔面痛、頭痛、耳鳴り、めまい、肩こり、腕のしびれ、腰痛、舌痛症、むちうち症状、けん怠感など、一般には歯と無関係と思われがちな症状を呈することもあります。他科を受診しても原因が分からず不定愁訴と診断されている人は、一度噛みしめを疑ってみるといいでしょう。
 長時間のパソコン操作やピアノ演奏、読書や書き物、裁縫、料理などに熱中し、前かがみの姿勢を続けることによって、噛みしめのほか、舌が低位置(舌で下の前歯を裏側から押している状態)にあったり、舌や咀嚼(そしゃく)筋などの口腔(こうくう)周囲筋や、顔面筋の緊張が持続、舌や頬粘膜に圧痕が見られるなどの現象が口腔内で起こっています。これらが、さまざまな症状を誘発しているのです。
 対策としては、日中に噛みしめていないかを自分でチェックする、作業や食事中の姿勢を正しく保つ、舌の位置の改善(正しい位置は上前歯の内側)、開口(かいこう)訓練、就寝前のリラックス、正しい咀嚼の訓練、喜怒哀楽を表し表情筋を使うなどがあります。噛みしめが気になる人は、一度専門医を受診することをお勧めします。