2008年11月19日水曜日

「過敏性腸症候群」について

札幌いしやま病院 樽見 研 医師

過敏性腸症候群について教えてください。

 お腹の不調を訴えて病院で診察し、検査をしても特に悪いところが見つからなかった場合は、過敏性腸症候群の疑いがあります。
 具体的には、便秘や下痢、便秘と下痢を交互に繰り返す、腹痛、便意やガス、腹満感が続く、お腹がゴロゴロと落ち着かない、お腹が鳴る、吐き気などの不快な症状です。下痢の場合、軟便や泥状便、水様便、粘液が混じった便などが見られます。便秘の場合は、コロコロとしたウサギのふんのような便や細い鉛筆状の便が出ます。
 どの年代でも起こり得ますが、10代~20代の若い世代に多く見られます。男女比は、若干女性に多く、女性は便秘、男性は下痢が多い傾向にあります。

原因と治療法を教えてください。

 脳と腸は神経でつながっていて、腸の働きは自律神経がコントロールしていますが、脳がストレスや不安を感じると、その信号が腸に伝わることによって腸の機能障害が起こり、過敏性腸症候群として症状が現れます。若い年代に多いのもストレスを強く感じるためです。
 学生や社会人の場合、休みの土・日には症状がなく、月曜日になると症状が出るということがあります。学校に行くと思うとお腹の不快な症状が出る。症状が出るので学校へ行くのがつらいということの連鎖で、登校拒否になってしまうこともあります。また、通勤電車の中で症状が強く出て、駅に着くと治まるということもあります。「トイレに行けない」状況がストレスをより強くしているためです。
 症状が続いても、基本的に体に影響はありません。しかし、日常生活に支障を来たすようであれば、治療が必要となります。受診した場合は、レントゲンや内視鏡などの精密検査でがんや炎症などの疾患の可能性を否定して、器質的に異常がなければ、過敏性腸症候群と診断します。治療の基本はライフスタイルの改善ですが、下痢には下痢止め、便秘には下剤など症状を抑える薬や腸の運動を調整する薬を処方します。ストレスや不安を和らげるため抗うつ剤や抗不安薬が処方されるケースもあります。
 薬を持つことによって安心したり、重い病気の疑いがなくなっただけで、症状が軽減することもあります。お腹の不快な症状で悩んでいる人は、一度受診することをお勧めします。