2006年9月27日水曜日

「更年期障害」について

ゲスト/札幌南二条産科・婦人科 熊井 健得 医師

更年期障害について教えてください。

 WHO(世界保健機関)では閉経を「卵巣における卵胞の消失による永久的な月経の停止」と定義しています。平均年齢はおよそ50歳です。
更年期に明確な定義はなく、一般に閉経前・閉経期、閉経後の40~60歳の期間を指します。この期間は卵巣の機能低下に伴う女性ホルモンの減少、欠落により心身にさまざまな症状が、不定愁訴として現れます。更年期の不定愁訴を更年期障害といい、症状によっては治療が必要となる場合があります。
具体的な症状としては、機能性出血、ほてり、のぼせ、異常発汗、動悸(どうき)、めまいなどの血管運動神経症状、憂うつ、不眠、頭重感などの精神神経症状などが挙げられます。また、性交時疼痛(とうつう)症、尿失禁、骨粗しょう症、高血圧などを伴う場合もあります。
さらに、高脂血症など加齢による症状や、子どもの独立など環境の変化による心因的症状などが重なることも多く、女性の心身に大きな変化が現れる時期です。

診察と治療について教えてください。

 診察は、初診時に月経歴と症状が出た時期、程度について問診で確認します。さらに、心理的要因が大きい場合は、環境や心理状態を把握するために、十分に時間をかけて問診します。加齢によるほかの病気の可能性を除外するために、血液や尿の検査、生化学検査、内診、子宮膣(ちつ)部細胞診、子宮内膜細胞診、経膣超音波検査による子宮・卵巣の疾患の有無も確認します。
 治療としては、ホルモン補充療法、漢方療法のほか、鎮痛剤、抗不安薬、抗うつ薬などによる対処療法を行います。心理的要因が大きい場合は心理療法の併用が有用です。ホルモン補充療法では、卵巣からの分泌不全の場合は、エストロゲンとプロゲストロンを投与しますが、子宮がない場合はエストロゲン単独になります。エストロゲンの投与によって、乳がん、単独療法で子宮内膜がんの発症のリスクが懸念されますが、適切な治療と定期的な各種がん検査を行っていれば、過剰に心配することはありません。リスクも含めて、信頼のおける主治医とよく話し合い、納得のいく治療を受けましょう。

2006年9月20日水曜日

「シミのタイプと治療法」について

ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林淑人 医師

シミについて教えてください。

 シミは、皮膚の深い部分(真皮)にメラニン色素が蓄積された状態をいいます。シミは取れないものと考えている人も多いようですが、実際には治療によって取ることが期待できるシミと、取ることが難しいシミがあります。  治療によって取ることが期待できるシミとしては、次のものが挙げられます。代表的なのは老人性色素斑です。これは茶色の円形で輪郭のはっきりしたシミで、主にほおや手の甲、前腕などに見られます。加齢によって出てくるシミですが、早い人では20代から出る人もいます。子供のころからほおや目の周りにあるそばかすも、治療可能なシミの一種です。脂漏(しろう)性角化症という、茶色の盛り上がったシミも治療が可能です。これは腫瘍(しゅよう)性のもので少しずつ大きくなりますので、気になる人は早めに専門医に相談すると良いでしょう。  治療はレーザー治療が一般的です。レーザー光が色素に反応して、皮膚内の色素を破壊することで改善します。しかし、レーザーといってもさまざまな種類があります。「Qスイッチ付アレキサンドライトレーザー療法」か「Qスイッチ付ルビーレーザー療法」がこれらの治療に最も適しています。治療効果には個人差がありますので医師と良く相談してください。

取ることが難しいシミにはどのようなものがありますか。

 肝斑(かんぱん)というほお骨のあたりに左右対称性に現れる茶色のシミがあります。主に女性に見られ、出産後や更年期に多く出現することから女性ホルモンが関係していると考えられています。これに対してレーザー治療を行うと、改善しないばかりか悪化することもあるので注意が必要です。ケガややけど、湿疹(しっしん)の後などに生じたシミや、行き過ぎた垢(あか)こすりによる背中のシミなどは、レーザー治療が有効でないことが多いです。  このようなシミには、脱色効果のあるハイドロキノンやビタミンC誘導体などの外用、ビタミンC、漢方薬などの内服が効果的なこともあります。  肝心なのは、日ごろからしっかり紫外線対策を行ない、シミを作らない、悪化させないことです。野菜や果物などで日常的にビタミンCを取ることも大切です。タバコはビタミンCを破壊すると言われているので、禁煙が望ましいでしょう。

2006年9月13日水曜日

運動によるストレスの軽減」について

ゲスト/五稜会病院 千丈雅徳 医師

ストレスについて教えてください。

 ストレスとは精神的に負荷がかかり、「ゆがみ」が生じることをいいます。精神を安定させたいと思う本能に反して、ゆがみで心身にさまざまな反応が生じます。ストレスの原因は、環境、人間関係、仕事、物理的、経済的なものまで、さまざまです。ストレスが蓄積すると、イライラや無気力、食欲不振、不眠、うつなどの精神的な症状だけでなく、高血圧、胃潰瘍(かいよう)など身体的にもさまざまな症状が現れます。
 多くの人はストレスにさらされながら日常生活を送っています。しかし、ストレスがまったくない生活というものも、心身に良い影響を与えません。平穏で退屈な生活は、挑戦する意欲や困難を乗り越える喜びを感じることができません。人は、適度なストレスと向き合うことによって、刺激や緊張が生じ、張り合いや生きがいをもって毎日を過ごすことができるのです。大切なのは、ストレスといかに上手に付き合うかということです。

ストレスにおける運動の効果について教えてください。

 ストレスケアのひとつに、作業療法というものがあります。多くの場合は集団でさまざまなプログラムに取り組みますが、エアロビクスやウオーキングなどの運動療法は、心身の健康を取り戻すのに有効です。しかし、集団に参加すること自体がストレスとなる場合もあります。このような場合は、無理せず個人での運動を勧めています。運動することによって、気持ちが楽になった、張り合いができたなどという心理的効果のほか、体脂肪や体重が健全に保たれ、食欲が増進したり、不眠が解消されるといった効果もあります。
 日常生活の中でも運動を上手に取り入れることによって、ストレスは解消され、身体の健康も取り戻せます。ただし、何事もやり過ぎは逆効果です。1日30分、週3回程度を目安に取り組んでみてはどうでしょう。ジムやプールに通うのもいいし、1駅分歩く、散歩から始めるというのでも構いません。万歩計をつけたり、体重や体脂肪を毎日計測すると、数値の変化が励みになり継続しやすくなります。

2006年9月6日水曜日

「脳梗塞(こうそく)・くも膜下出血と予防」について

ゲスト/コスモ脳神経外科 小林 康雄 医師

脳梗塞とくも膜下出血について教えてください。

 脳の血管の障害によって起きる脳卒中には、脳の血管が詰まる虚血性と、血管が切れたり破裂しておこる出血性があります。
 脳梗塞は虚血性の脳卒中で、脳の血管が血栓などによって詰まったり、動脈硬化によって血管が狭くなったり、血流が悪くなって起こる疾患です。
 脳疾患の中でもっとも多く生活習慣病が大きな背景となっており、糖尿病や高血圧症、高脂血症などと深く関係しています。 症状としては、手足のまひ・しびれ、口のもつれ、めまいなどで、一定時間で収まる一過性の発作の場合もあります。一時的に目が見えなくなったり、視野が狭くなることもあります。
 出血性の脳卒中には、脳を覆っているくも膜の下のすき間に出血が起きるくも膜下出血と、血管のもろい部分が破れて脳内に出血する脳内出血があります。
 くも膜下出血は脳卒中全体から見ると少ないほうですが、重篤状態になる確率が高く、症状としては、突然激しい頭痛や吐き気に襲われます。いつもと違う頭痛を感じたら、すぐに受診して下さい。脳卒中は、早期に適切な治療を受けることで予後を大きく左右します。

治療法、予防法について教えてください。

 脳梗塞の予防策・再発防止策としては、生活習慣病の改善が重要です。くも膜下出血の有効な予防策は確立されていませんが、「脳ドック」と呼ばれる脳の検査を行うことにより、まだ破裂していない脳動脈瘤(りゅう)などを発見することもでき、破裂を未然に防ぐ治療が可能になるなど、予防策を講じることができます。40歳代になったら、1~2年に1度は、脳ドックを受けることをお勧めします。
 レントゲン検査で頭と首の健康状態を調べ、MRI(※1)で脳の断層写真を見て、病気の有無や本人が気づかなかった過去の病気がわかります。
 MRA(※2)は血管の狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)部分・脳動脈瘤の発見、動脈硬化の程度などがわかります。脳ドックは健康保険外になりますが、脳卒中は障害が残ったり、生命が危険にさらされる可能性が高い疾患です。自分の脳の健康は自分で守る時代です。積極的に予防策をとることをお勧めします。

※1)MRI:磁気共鳴画像装置
※2)MRA:磁気共鳴造影装置