2006年8月9日水曜日

「腰痛」について

ゲスト/札幌一条クリニック 後藤康之 医師

腰痛について教えてください。

 痛みを訴える人の中で、肩凝りと並んで多いのが腰痛です。日本人の約6割が生涯のうちに一度は経験するといわれています。
 発症には、脊椎(せきつい)、筋肉、内臓、精神などが関与し、姿勢や疲労、運動、栄養の偏り、ストレスなどがきっかけになります。最近の傾向としては、20~30代で筋・筋膜性腰痛を訴える人が多く、立ち仕事や長時間の運転、急激なスポーツ、長時間のデスクワークや会議など、心因性、社会性要因の腰痛です。高齢者では、脊椎の老化変性による腰痛がほとんどです。

治療や予防について教えてください。

 大きく次の3つの腰痛に分けてみます。
「筋・筋膜性腰痛」は、腰(背)の部分の筋肉や筋膜に分布する神経の枝が、何らかの原因で刺激されて起こります。局所の血流不良によって凝りを生じ痛みになったり、腰部のねんざや重量物を持ち上げる時などに急激に発症することが多く、安静と薬物、理学療法によって大部分は軽快しますが、往々にして慢性化することがあり、局所への薬剤注入も有効です。
 「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」は、椎間板間のクッションの役目を果たすものがはみ出し、隣接する神経を刺激し腰痛となります。急に腰から下肢にかけて激痛が生じ、身動きができなくなります。しばしば座骨神経痛を伴い、下肢の知覚異常や脱力感を訴えることも。急性期には神経ブロックによる治療がもっとも有効です。1カ月以上たっても痛みが続くときや再発を繰り返す場合は、手術も考える必要があります。 
 「脊(せき)柱管狭窄(きょうさく)症」はしばしば難治性で手術や神経ブロックなどでも十分な効果が得られないこともあります。薬物も鎮痛薬ではなくて抗うつ薬や漢方薬をうまく使う必要があります。
 腰痛を予防するには、良い姿勢を保ち、歩く時は6m先の床あたりを見るようにします。腰椎(ようつい)を支える腹筋や背筋を鍛え、肥満を解消し、できれば週に1、2度は水泳や散歩で心身をリラックスさせるといいでしょう。いわゆる生活習慣病にならないことも必要です。上手に付き合えば、腰痛は怖くありません。