2006年1月25日水曜日

「舌痛症」について

ゲスト/石丸歯科 石丸俊春 歯科医師

舌に痛みを感じる舌痛症について教えてください。

 舌にピリピリとした痛みがあるが、舌自体には異常がない。しかし、 痛いし、食事や会話にも支障を来す、という患者さんの来院が増えてい ます。中には、舌がんではないかと不安に駆られている場合もあります。舌の痛みは体全体に影響を与え、食欲不振、急激な体重の減少、便秘、倦怠(けんたい)感、吐き気、頻尿、めまい、女性の生理不順、男性の性欲減退などのうつ状態の症状を訴える人も多くいます。また、ほかの症状として、苦味を感じる、口腔(こうくう)内にネバ ネバ感がある、味覚障害、歯の違和感、疼痛(とうつう)、顔面痛、顎(がく)関節痛、咀嚼(そしゃく)筋の痛み、噛(か)んだ気がしないなどの症状を呈することもあります。原因が分からず、このような症状を訴えると、一般的には精神科、神経科などの受診を勧められることが多いです。処方された抗不安薬、睡眠導入薬などの服用で、口腔乾燥、カンジダ性舌炎などの二次的症状を招き、さらに悪化させている場合もあります。

原因と治療法を教えてください。

 直接の原因となっているのは、不適合な冠、調整しても改善しない舌に触る義歯などが考えられます。また、歯の欠損を放置して起きる舌の弛緩(しかん)、嚥下(えんげ)時の舌の運動低下、噛みしめなどによってできる舌の異常緊張など、舌の機能不全が原因ということも多くあります。舌痛症を予防するには、普段から以下のことに気を付けましょう。 

(1)歯が抜けたら放置せず、義歯やブリッジの治療をする。 
(2)ペチャペチャと噛む人は、口唇を閉じてモグモグと奥歯を使って噛むことを心掛け、口唇の力を借りずに飲み込む。
(3)仕事やパソコン操作などに集中している時に、噛みしめて舌で歯の裏を押している人は、時々自分でチェックして舌を正しい位置に戻す。

 すでに舌に痛みのある人は、舌をスポットポジションに置くようにします。まず、上の前歯の裏側から約5mmの歯ぐきに舌の先端を置き、軽く口唇を閉じ、背筋を伸ばして鼻呼吸を心掛けます。さらに、唾液(だえき)腺のマッサージ、咀嚼回数を増やして唾液分泌を促すなどが効果的です。

2006年1月18日水曜日

「健康診断」について

ゲスト/北海道大野病院附属駅前クリニック 古口健一 医師

健康診断について教えてください。

 重大な疾患を予防するためにも、健康診断は重要です。サラリーマンの場合、事業所健診が年に1、2度あり、費用は事業者が負担します。主婦や高齢者、自営業者などは、札幌市の場合40歳以上なら「すこやか健診」を1200円の負担で受けることができます。内容は、問診、身体計測、聴打診、血圧測定、尿検査、血液検査、心電図検査、場合により、胸部X線撮影などが追加されます。また、胃・大腸がん、子宮がん、乳がん、肝炎ウイルス、肺がんなどの検診にも補助があります。詳細や金額については、関係機関にお問い合わせください。いずれも70歳以上、低所得世帯は費用が免除になります。そのほかの人間ドックなどの付加健診は、加入している保険、組合、共済などから補助がある場合もあります。

健康診断で異常が見つかった場合は、どうすればいいですか。

 健康診断(一次健康診断)で異常な所見が認められた場合、二次健康診断で精密検査・再検査を行います。健康保険を利用する場合は、会社か本人が負担します。労働保険加入者では労災保険二次健康診断が適応される場合があります。検査や負担金などが分からなければ、遠慮なく病院に尋ねましょう。分からない単語や、数値の意味なども、どんどん質問してください。検査の結果、専門医の受診・治療が必要で
あれば、適した病院を紹介します。検査が重複する場合もありますから、データや画像など、借りられるものは持参すると、費用と時間の無駄を省けます。病院によっては、紹介状がないと受診できない場合もあるので、紹介してもらってからの受診が基本になります。しかし、もし紹介状がなくても、「この病院で診てほしい」という希望があれば、病院に直接尋ねてみてください。最近はインターネットや本などで情報を得る患者さんも少なくないため、病院側も対応してくれる場合が多いです。
 病気の治療は早ければ早いほど効果が高く、期間も短く、医療費も安くすみます。40歳を過ぎたら、積極的に健康診断を受けてください。

2006年1月11日水曜日

「正常眼圧緑内障」について

ゲスト/ふじた眼科クリニック 藤田南都也 医師

正常眼圧緑内障について教えてください。

 まず緑内障についてですが、普段、目の中には房水という液体が循環していて、これがなんらかの原因で詰まってしまうと、眼圧が上昇して目が硬くなり、視野が狭くなります。これが一般的な緑内障のイメージです。ところが近年、国内で実施された緑内障疫学調査で、眼圧が正常であっても、緑内障を発症している人が多いという驚くべき結果が出ました。調査を受けた40歳以上の17人にひとりが、なんらかの緑内障を発症していて、その中の半数以上が正常眼圧緑内障であることが分かりました。
 正常眼圧緑内障の大きな特徴として、早期には自覚症状が現れないことが挙げられます。視野が狭くなり、階段でよくつまづくようになった、車の運転中、左側のガードレールばかりにこすってしまう、などの自覚症状が現れた時には、既に末期という危険が高く、放っておくと失明の恐れもあります。また緑内障は、病気が進行しても中心視力は保たれますので、一般的な視力検査で視力に問題がない、信号や新聞の文字がはっきり見えているという場合でも、安心はできません。

どんな治療法がありますか

 緑内障が発見された場合、治療によってそれ以上の進行を防ぐことは可能ですが、失った視野を取り戻すことはできません。ですから早期発見が何より重要です。治療法としては、点眼治療、内服治療、手術が挙げられます。早期であれば、点眼治療のみで高い効果を期待できます。
 ご家族や親戚に緑内障の方がいる場合は、リスクが高まるので注意が必要です。また、現在は発症していなくても、精密な眼底検査によって、今後緑内障にかかりやすい傾向にあるかどうかが分かります。正常眼圧緑内障で重要なポイントは、通常の眼圧検査では異常が発見されないということです。専門医による眼底検査と視野検査の両方を受けて初めて異常が発見されることも珍しくありません。これまで自分は大丈夫だと思っていたり、自覚症状がない場合も、加齢とともに発症することがありますので、気になる方は、一度専門医による検査を受けてみることをお勧めします。

2006年1月4日水曜日

「冬の胃腸病と細径胃内視鏡」について

ゲスト/大通り胃腸科クリニック 宮田敏夫 医師

冬に注意すべき胃腸の症状について教えてください。

 冬の食中毒の代表的なものはノロウイルスです。ノロウイルスは、汚染された飲食物を口にしたり、感染者からの二次感染によって広がります。中毒例の多くはカキなどの二枚貝によるもので、鮮度とは関係ないので、できる限り加熱した方がいいでしょう。主な症状は吐き気、下痢、発熱、腹痛などです。一般に症状は軽く1~2日で治りますが、老人や病人、乳幼児など、免疫力や体力が低下している場合は重症化することもあるので、注意が必要です。
 また、すしや刺し身などを食べた後に胃腸の激痛に見舞われることがあります。アニサキスという寄生虫によるもので、サバ、アジ、イカなどさまざまな魚に寄生しています。
 ほかにも、不規則な食生活や暴飲暴食で胃腸炎になったり、海外旅行で有害細菌などに感染したりと、年末から年始にかけては、胃腸科に駆け込む人も多くなります。食べ物はしっかり加熱したものを食べる、手をよく洗う、海外で生水は飲まないなど、予防策をとることをお勧めします。

胃内視鏡について教えてください。

 胃腸の不調で受診した場合は、胃カメラと呼ばれる、内視鏡検査を行う場合が多いです。胃がんの可能性を排除し、原因を特定するためです。胃カメラを体験した人であれば、お分かりでしょうが、決して楽な検査ではありません。特に、舌根を刺激されると吐き気を催す喉頭(こうとう)反射の強い人にとっては、非常につらい検査です。小さなカメラを丸ごと飲み込んでしまうカプセル内視鏡も開発されましたが、検査の精度を保つという点では電子スコープの方が優秀です。
 最近になって、ごく細い胃内視鏡が開発されました。従来のものが直径9~10mm程度であるのに対し、4.8mmと、約半分のサイズです。喉頭反射も起きづらく、場合によっては鼻から入れることもできます。この鼻から入れることのできる内視鏡の利点は、当事者の負担が軽いことと、診察中に会話ができるという点にあります。今まで「胃カメラがつらい」と検査を敬遠していた人も、細径胃内視鏡であれば安心ですから、一度病院に相談してみてください。

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