2005年3月9日水曜日

「ひざに水がたまる病気」について

ゲスト/山口整形外科クリニック 山口秀夫 医師

ひざに水がたまる病気について教えてください。

 関節には、主に潤滑液の役割を果たす関節液という液体があります。これは、関節を覆う袋の中にある滑膜という組織でつくられます。関節液の量は、通常、体内で最も大きなひざ関節で1~3ミリリットルですが、関節に炎症が起こると、滑膜の中で関節液が過剰につくられ、水がたまった状態となります。これを関節水腫といいます。ちょうど、鼻炎で鼻水が出てくるのと似ています。水がたまると、ひざが重い、だるい状態が続き、水の量が増えるにつれて痛みが増し、ひざを支える四頭筋の力が低下して歩きにくくなります。

どんな治療法がありますか。

 関節水腫の原因として代表的なものは、変形膝(しつ)関節症、関節リウマチ、痛風、外傷性関節炎です。この中で、最も頻度の多い変形膝関節症による関節水腫の治療法には、(1)消炎鎮痛剤の服用により炎症を抑える(2)ひざを支える大腿(たい)四頭筋を訓練して関節を安定化させる(3)関節注射で直接滑膜の炎症を抑える--などがあります。症状に応じて、これらを併用する場合もあります。関節注射には、関節軟骨を保護し、ひざを動かしやすくする作用のあるヒアルロン酸ナトリウムと、炎症を抑えて痛みを取り除く作用のあるステロイドを使用します。ほとんどの場合、ヒアルロン酸ナトリウムの注射を週1回、1~2回はステロイドを混ぜながら計5回行うと、症状が改善されます。しかし、場合によっては、治療に半年以上かかることもあります。関節水腫の原因については先ほど述べましたが、それらの病気にかかっていても、関節水腫になる人と、ならない人がいます。残念ながら、その理由については正確に分かっていないため、水がたまる状態が長く続くことがあります。ひざの水を抜くと癖になる、と言う人がいますが、抜いてすぐに水がたまるのは、原因となる病気自体が治っていないからです。その場合は、主治医と相談して、原因と思われる点(変形膝関節症、関節リウマチ、痛風、外傷性関節炎など)を根気強く改善していくことが必要です。

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