2021年1月6日水曜日

飲酒で顔が赤くなる人は、食道がんに要注意!

 ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 院長


お酒を飲むと顔が赤くなりやすいのですが、気を付けた方がいいことはありますか。

 コップ一杯のビールしか飲んでいないのに顔が急激に紅潮したり、心臓がバクバクしたり、場合によっては頭痛がしたり、また極端な場合は吐き気をもよおしたりする現象を「アルコールフラッシュ反応」といい、その反応を示す人を「フラッシャー」と呼びます。

 アルコールの代謝ですが、私たちの体は摂取したアルコールを消化管で吸収した後、その大部分を肝臓で代謝し、最終的には水と二酸化炭素にして体外に排出しています。これには主に二段階の酵素反応がかかわっています。第一段階はアルコール脱水素酵素(ADH)によりアルコールをアセトアルデヒドに分解する反応です。第二段階は2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)によりアセトアルデヒドを酢酸に変換する反応です。フラッシャーは第二段階で働くALDH2の活性が遺伝的に低いため、悪酔いの原因物質とされるアセトアルデヒドが急激に体内に蓄積されることが原因でフラッシュ反応が引き起こされます。

 近年、フラッシャーはそうでない人(ALDH2の活性が強い人/いわゆる酒豪タイプの人)に比べて食道がんになるリスクが高いという研究結果が示されました。1日の飲酒量が1.5合以下で6倍、1.5~3合だと61倍、3合以上だと93倍に跳ね上がるとされます。 

 重要なのは、フラッシャーの発がんリスクはアルコールそのものにあるのではなく、ALDH2の活性が低いことで蓄積しやすいアセトアルデヒドが原因であることです。フラッシャーは、まったくアルコールを飲めない人(ALDH2の活性がまったくない人/いわゆる下戸の人)に比べれば、少なからずお酒を飲むことができます。 不快感を伴うフラッシング反応があるため飲酒を控える傾向にありますが、長年飲んでいると別の代謝経路が鍛えられて不快にならずに飲酒ができるようになっていきます。その結果、フラッシャーでも飲酒の習慣を持つ人が多く、アセトアルデヒドの長期的な蓄積により食道がんや咽頭がんのリスクが高まっていくものと考えられます。

 フラッシャーの方は、できるだけ飲酒を避けることをお勧めします。万一、食道がんになっても早期で発見するために、内視鏡検査をはじめとする定期的な検診を受けることも大切です。