2019年11月20日水曜日

広がる新型たばこの健康リスク

ゲスト/白石内科クリニック 干野 英明 院長

―火をつけない新型たばこのシェアが拡大しています。新型たばこの健康上のリスクについて教えてください。
 紙巻きたばこの喫煙・受動喫煙は長年の研究で、肺がんなどの危険を高めることが科学的に証明されていますが、近年、従来の紙巻きたばこより有害物質が少ないと宣伝される新型たばこが登場し、今や世界規模で普及しています。新型たばことは、電子たばこと加熱式たばこを指します。
 電子たばこは、ニコチンや多様な香料を含む液体を専用装置で加熱してエアロゾル(気体中に分散して浮遊する液体及び個体の微粒子の総称)を吸うものです。日本ではニコチンを含む電子たばこは法律で規制され市販されていませんが、8000種類以上あるといわれている香料の香りや味を楽しむものは規制外です。電子たばこは発売当初から有害性が議論になっています。有害成分の濃度が低いという業者の主張とは異なり、従来の紙巻きたばこに比べて安全とはいえない可能性が高いという研究結果が相次いでいます。米国では、電子たばこを吸った後、深刻な肺の病気にかかった患者が死亡した例もあり、電子たばこに含まれる未知の有害成分が関係しているとみて調査が進められています。
 一方、加熱式たばこは、たばこの葉に直接火を付けるのではなく、たばこの葉を加熱してニコチンなどを含んだエアロゾルを発生させる方式のたばこです。日本で急速に広がる加熱式たばこは「有害物質が少なく、煙が出ないのでクリーン」と俗にいわれていますが、本当にそうなのでしょうか。確かに、ニコチンは減少するものの、紙巻きたばこに含まれるその他の発がん性物質や有害物質は一律に減少しないことが明らかになっています。発がん性物質や有害物質には許容範囲がないので少量でも使用しないことが大切です。また、加熱式たばこの喫煙者が吸い込んだエアロゾルの約3分の1は、そのまま吐き出されます。その煙は見えにくく、においもほとんどありませんが、高濃度の有害な成分を含んでいることが実験で確認されています。受動喫煙がないという誤解・誤認識により、加熱式たばこの使用を認める飲食店が増えているようですが、受動喫煙の点からは問題だといえます。
 新型たばこは市販されてからの期間が短く健康被害の調査がまだ十分に行われておらず、紙巻きタバコよりも安全だという保障はまったくありません。日本呼吸器学会からは「使用者にとっても、受動喫煙させられる人にとっても、電子たばこや加熱式たばこの使用は推奨できない」という見解が出されています。