2019年11月13日水曜日

全般不安症・全般性不安障害

ゲスト/医療法人社団 正心会  岡本病院  山中啓義 副院長

全般不安症・全般性不安障害とはどのような病気ですか。
 全般不安症・全般性不安障害(GAD)は、慢性的にコントロールできない心配によって不眠、筋緊張などの身体症状や集中困難をきたす疾患です。社会的・職業的機能障害、ほかの精神疾患や身体疾患との併存、放置しておくと自殺につながる恐れもあるとも考えられています。
 しかし、その概念や診断基準の変遷から患者さんはもちろんのこと、医師の中でもその認知度や理解度は未だに低い疾患の一つと思われます。
 GADの原点はドイツ精神医学(以下、伝統的精神医学)における「不安神経症」に遡ることができます。「何か悪いことが起こるのではないか」という予期不安、慢性不安を誘因としてさまざまな症状が生じるものとされます。伝統的精神医学は個々の症例を様々な角度から深く検討していくという長所がある一方、明確な基準がない、同じ症例でも医師によって診断の一致率が低いという短所もあります。
 1980年、疫学調査や自然科学的研究を進める上でDSM-3(心の病気に関する診断基準)が誕生し、不安障害の再編成が行われました。現在用いられているDSM-5において全般不安症・全般性不安障害は「多数のことへの制御不能で過剰な不安と心配(予期憂慮)が、起こる日の方が起こらない日より多い状態が少なくとも6か月間にわたる」と定義されています。そして、その不安および心配は以下6つの症状のうち3つ以上を伴っているものとされています。①落ち着きのなさ、緊張感 ②疲労感 ③集中困難 ④易怒性、焦燥 ⑤筋肉の緊張 ⑥不眠。DSM-5では「たとえ、うつ病期間中のみに起こったGAD(全般性不安障害)であっても、GADとしてよい」とされ、どんな気分障害とも併存すると規定されました。


治療について教えてください。
 GAD治療には長く抗不安薬や睡眠薬が用いられてきました。しかし、特にベンゾジアゼピン系薬剤による依存、耐性、離脱、眠気、認知機能低下などの観点から近年は推奨されていません。
 現在は、抗うつ薬であるSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)が薬物療法の第一選択薬となっています。また、非薬物療法として支持的精神療法、認知行動療法、リラクゼーション訓練などの有効性も報告されています。