2018年11月12日月曜日

強迫性障害

ゲスト/医療法人 耕仁会 札幌太田病院  太田 健介 院長

強迫性障害とはどのような病気ですか。
 「自分や周囲のものを汚く感じ、手洗いを繰り返し、触れなくなる」「ドアの鍵やガスの元栓を閉めたかどうか気になり、何回も確認する」。このように、不合理だと分かっていても、自分ではコントロールできない不安や不快感の原因となる考え(強迫観念)が頭に浮かび、それを振り払おうとしてさまざまな行為(強迫行為)を何度も繰り返してしまう病気が強迫性障害です。繰り返すことで症状が悪化していくのも大きな特徴です。
 症状が比較的軽いうちは、なんとか日常生活を送ることができますが、重症化すると、強迫行為に大半の時間を取られて他のことをする余裕がなくなったり、行けない場所が増えたりするなど、日常生活に支障を来たし、引きこもりになることもあります。また、本人が家族にも度を越えた清掃や確認を要求するなど、周囲の人も症状に巻き込まれてしまうケースもあります。
 強迫性障害の有病率は人口の2〜3%程度といわれ、幅広い年代で発症します。発症のメカニズムはまだはっきりと解明されていませんが、遺伝的な要因との関わりが示唆されています。うつ病やパニック障害など他の精神障害を同時に合併している場合も少なくありません。

治療について教えてください。
 治療には大きく分けて、薬物療法と認知行動療法があります。
 薬物療法で主に使われるのは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)という抗うつ薬です。服用を始めると、約半数の人に症状が軽減するなどの反応が出てきます。薬物療法で効果がない場合は、認知行動療法の一種である「暴露反応妨害法」を用います。これは、まず強迫性障害がどういう病気なのかをきちんと理解してもらう心理教育から始めます。次に、あえて強迫観念を招くような場面に患者さんを立ち向かわせ、強迫行為をしなくても不安感が小さくなっていくことを学んでもらいます。最初の段階では患者さんは強い不安を覚えますが、段階を踏んで行っていけば、強迫行為をしなくても不安がなくなることを実感できるようになります。
 最後に、強迫性障害はきちんと治療すれば改善する可能性の高い病気です。思い当たる点がある人は、一度、専門医を受診してアドバイスを受けることをお勧めします。