2015年9月9日水曜日
緊張型頭痛
ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 院長
緊張型頭痛とはどのような病気ですか。
「なぜ頭が痛くなるのか?」「何か悪い病気ではないのか?」と頭痛に悩んで受診される方が増えています。不安は痛みを増強させますので、頭痛に対する正しい理解を得ることが重要です。
頭痛にはさまざまな種類がありますが、脳や体の異常を知らせるサインとしての痛みを「症候性頭痛」といいます。例えば、くも膜下出血、脳腫瘍(しゅよう)など恐ろしい病気の症状として現れます。われわれ医師は、頭痛を訴える患者さんを診るときは、まず他の重篤な病気が隠れていないかを調べるのに時間をかけます。
頭痛持ちと呼ばれる方の多くは、脳に病気がないのに繰り返し症状が起こる「慢性頭痛」と考えられます。症候性頭痛と異なり、CTやMRIなどの画像検査でも異常は出ません。国内では4人に1人が慢性頭痛を患っているとされ、その数は約3000万人にも上ります。痛みの程度は人それぞれですが、寝込んでしまうほどの痛みなど、日常生活に支障を来す場合もあります。日本では、慢性頭痛が病気であるという認識が薄いため、周囲の理解が得られず、患者さんの苦しみがより大きくなることもあります。
慢性頭痛の7〜8割を占めるのが「緊張型頭痛」です。首や肩の凝りを伴い、よく「鉢巻きを締められているような痛み」と表現されます。後頭部に圧迫感や頭重感があり、鈍い痛みが続きます。長時間同じ姿勢でいることや運動不足、精神的なストレスが背中から肩、首にかけての筋肉の緊張を引き起こし、頭を締め上げます。終日座りっぱなしのパソコン作業などは、緊張型頭痛の大きな原因で、まさに現代病の一つといえるでしょう。
緊張型頭痛の治療について教えてください。
治療は、痛みの程度に応じて各種鎮静剤や筋肉を和らげる薬を使います。緊張型頭痛や頑固な筋肉のこわばりには、過度のストレスが関わっていることが多く、リラックスを心掛けることが治療の重要なポイントです。薬の治療に加えて、ストレッチ体操やヨガ、ゆっくりとお風呂に入って筋肉を温めるなどの方法も有効です。
長時間同じ姿勢でいることを避ける、適度にストレスを発散させる、仕事の合間に外の空気を吸って気分転換をする、軽いストレッチをするなど、心と体のリフレッシュが治療効果を高めます。
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