2014年8月13日水曜日

機能性ディスペプシア


ゲスト/佐野内科医院 佐野 公昭 院長

機能性ディスペプシアとはどのような病気ですか。
 これまでは2006年に作成された国際的な診断基準が引用されていましたが、今年4月に日本消化器病学会が作成した診療ガイドラインが発表されました。日本の実情に合った診療ができるガイドラインとなっています。
 ディスペプシアとは心窩部(しんかぶ・みぞおち)痛や胃もたれなどの心窩部を中心とした腹部症状をいいます。機能性ディスペプシア(FD)は、症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないのにもかかわらず、慢性的にディスペプシアを呈する疾患と定義されています。
 これまでFDの患者さんは慢性胃炎として診断、治療されてきましたが、FDは症状により定義される疾患で、両者は同一のものではありません。併存することもしないこともあります。新たなガイドラインではこれらは異なる疾患であることを銘記するべきであるとしています。
 日本人の有病率は、検診受診者の11〜17%、上腹部症状を訴え病院を受診した患者の45〜53%と推定されています。FDの罹患(りかん)はQOL(生活の質)を低下させ、症状が強いとその低下は顕著になります。

機能性ディスペプシアの診断、治療について教えてください。
 まず症状の詳細を把握することが基本となります。問診が大切ですが、症状の種類、程度などを客観的に評価する方法として自己記入式の質問票を用いることもあり、治療効果の判定にも有用です。体重減少や再発性の嘔吐(おうと)、出血、嚥下(えんげ)困難、腹部腫瘤(しゅりゅう)、発熱といった器質性疾患が疑われる兆候がある場合は早めに、そうでなくても診療のいずれかの段階で内視鏡検査を行うことも欠かせません。必要に応じて内視鏡検査以外の画像検査も行います。ピロリ菌検査の実施も推奨されています。
 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症剤=鎮痛剤)や低用量アスピリンの服用で似たような症状が出現することもあるため、可能な範囲で内服を中止し、それにより症状が軽減、あるいは消退する場合はFDから除外します。
 治療の基本は、食事など生活習慣の改善指導です。就寝前の食事や暴飲暴食、早食い、喫煙、過度の飲酒など、胃に負担をかける生活習慣を改めます。また、ストレスの解消や適度な運動も効果があります。
 内服薬では酸分泌抑制薬や消化管運動機能改善薬が用いられるほか、漢方薬や抗うつ薬、抗不安薬が処方されることもあります。4週間の内服治療を行っても症状が改善しない場合には治療法の変更を考慮します。