2014年3月12日水曜日

双極性障害


ゲスト/医療法人五風会 さっぽろ香雪病院 江川 浩司 副院長

双極性障害とはどのような病気ですか。
 気分のコントロールができず、日常生活に支障を来す病気の総称を気分障害といいます。気分障害は大きく、うつ病と双極性障害(そううつ病)に分けられます。うつ病では気分の落ち込みなどのうつ症状だけがみられますが、双極性障害はうつ状態とそう状態を繰り返します。遺伝的要因が大きく、およそ100人に1人の割合でかかる可能性があります。
 そう状態の症状は、万能感や誇大妄想などで、気分が高揚しておしゃべりになったり、自分が正しいと思い込んだりします。症状が軽い場合は、本人は「調子が良い」と感じ、周囲も「やけに元気だな」と思う程度で見過ごされがちです。しかし、症状が重くなると、借金をして買い物を続けたり、交通違反を犯すほど運転が荒くなったり、社会生活や人間関係に深刻な悪影響を及ぼす言動が目立ちます。また、そう状態からうつ状態に転じるとき、自殺に走る危険性が高まるとの指摘もあります。
 双極性障害のうつ状態とうつ病は症状がほぼ同じであるため、見分けがつきにくく、診断が難しい病気です。しかし、うつ病と双極性障害は治療方針も治療に使う薬も異なるため、この二つをしっかり見分けることが治療の鍵となります。

双極性障害の治療について教えてください
 双極性障害の治療は、うつ病と同じく薬物治療が中心です。うつ病では主に抗うつ薬が処方され、うつを良くすることが治療の目標ですが、双極性障害では主に気分安定薬や抗精神病薬を使い、うつ状態とそう状態の波を小さくすることを目指します。近年、そう状態の治療に効果が高い新しいタイプの抗精神病薬も登場し、治療の選択肢が広がっています。
 双極性障害であるのに、うつ病の治療を続けると、効果が低いだけでなく、うつ状態からそう状態への急速な状態変化など、病気が悪化する恐れがあるので注意が必要です。
 双極性障害は再発を繰り返しやすい病気です。症状が良くなってきても、服薬を中止せず、予防治療を続けていくことが大切です。患者さん自身が病気をよく理解し、発症・再発したときにどんな兆候が現れたのか、これまでの病状を振り返っておくことも必要です。病気のしるしを見逃さずに、再発を未然に防ぎ、病気とうまく付き合っていくことがとても重要になります。