2013年9月4日水曜日

非結核性抗酸菌症


ゲスト/白石内科クリニック 干野 英明 医師

非結核性抗酸菌症とはどのような病気ですか。
 抗酸菌は大きく二つに分けられます。一つが結核菌です。これは人から人に感染します。結核菌以外の抗酸菌は非結核性抗酸菌と呼ばれ、人から人に感染しないのが特徴です。
 非結核性抗酸菌は約150種類ほどあり、そのうち人間に感染するのは約20種類です。この菌は水の中や土壌に存在するので、日常的に接する機会は多いですが、毒性が弱いため、一般的には感染することは少ないです。しかし、免疫力が低下している場合などに感染すると、気管支に炎症を起こし、咳(せき)、痰(たん)、発熱などの症状が現れます。
 非結核性抗酸菌のうち、最も多くみられるのは全体の約70%を占めるアビウム・コンプレックス菌で、通称マックと呼ばれます。中高年の女性に発症するケースが多く、レントゲンでは肺の中・下肺野(かはいや)を中心に病変が発見されます。マックに次いで多いのが、若い男性への感染が増加しているカンサシ菌で、全体の約20%を占めます。
 現在の日本では、以前に猛威を振るった結核は減っていますが、非結核性抗酸菌症は増加傾向にあり、特にマック症は急増しています。

非結核性抗酸菌症の診断、治療について教えてください。
 非結核性抗酸菌症は、比較的毒性が弱く、感染しても数年単位でゆっくりと悪化していくことが多いため、初期段階には自覚症状がない場合があります。レントゲンを撮って初めて、この病気を指摘されることも珍しくありません。レントゲンやCT(コンピューター断層撮影装置)で肺に病変がみられ、喀痰(かくたん)検査で菌が検出されると確定診断となります。ただし、1回の検出では不十分で、2回以上繰り返して菌を見つけることが必要です。
 この病気は、治療なしでも進行しない場合があり、菌が検出されて診断がついても、経過観察した上で治療の開始を判断することがあります。治療開始の基準としては、排菌量が多い、肺に空洞病変がある、血痰などの自覚症状が強いケースなどが挙げられます。
 治療は、抗生剤のクラリスロマイシンと抗結核剤のエタンブトール、リファンピシンなどを併用する薬物療法が中心です。治療は1年〜数年間という長期にわたることが多いですが、中断せずに薬を服用することが大切です。病巣が狭い範囲内に限られている場合には、外科的に切除することもあります。