2012年11月21日水曜日

歯の外傷


ゲスト/医療法人社団アスクトース 石丸歯科診療所 近藤 誉一郎院長

転倒などで歯が折れた時の処置について教えてください。
 自転車で転んだ、両手がふさがっている状態で転倒した、スポーツでの衝突など、外傷により歯が破折した場合は、すぐに歯科医を受診することが大切です。外傷を受けた歯は、早期の治療によって予後がまったく変わってきます。受診する際、折れた歯の破片があれば、持参するようにしましょう。折れた部位、大きさ、形などを推定し、治療の参考にすることがあるからです。
 歯科医では、まずエックス線検査で、折れた部位を特定し、他にひびなどが入っていないか、歯の周囲の骨に異常がないかなどを調べます。治療は、歯の欠けた部分の位置や大きさによって異なります。歯の頭の部分など浅い位置での破折は、樹脂などで欠けた部分の修復を行い、元に近い状態まで戻すことができます。破折が歯の内側の象牙質にかかるような場合は、神経の処置をした後、差し歯などの被せる方法で修復するのが一般的です。折れた場所が深く、残る根が少ない場合は、歯を抜かなければならないこともあります。

歯がグラグラしている時、歯が抜け落ちてしまった時の処置について教えてください
 外傷により歯がぐらついているケースでは、ワイヤーなどを用いて隣の歯と固定し、安定を図ります。固定期間は症状や年齢によって異なりますが、1〜2週間が目安となります。その後、歯髄組織(歯の神経)へのダメージを見るため、約6カ月間の経過観察が必要です。歯髄が壊死(えし)してしまった場合は、神経を取って根の治療を行います。数カ月経ってから歯髄が壊死して、その結果、歯の色が黒ずんで見えてくることもあります。
 歯が完全に抜け落ちてしまった場合、最も重要なのは、抜けた歯を乾燥させずに保管し、早急に歯科医を受診することです。歯には「歯根膜細胞」という、歯と生体をつなぐ組織があり、抜けた歯を元に戻すことができるかどうかは、この細胞の有無に懸かっています。歯根膜細胞は乾燥に弱く、約30分で大半が死滅してしまいます。抜けた歯の保管場所として最適なのは、市販されている歯の専用保存液、もしくは、コップなどに入れた牛乳の中に浸すことです。専用保存液なら約24時間、牛乳なら約12時間、歯根膜細胞を生存させることができます。処置が早ければ早いほど、もう一度歯を戻して残せる可能性は高くなります。