2012年7月13日金曜日

舌側(ぜっそく)矯正


ゲスト/宇治矯正歯科クリニック 宇治 正光 院長


矯正に対する最近の傾向について教えてください。
全身の健康やQOL(生活の質)の向上を考える上で、歯のかみ合わせが重要な役割を果たしていることが、一般の方々にも認知されるようになりました。それに伴って、歯列のでこぼこや、上顎(がく)前突、下顎前突、さらに顎(あご)の左右のズレを気にする人が増えてきました。
 以前、お子さんの歯の矯正で通われている女性から「上顎前歯が出て、下顎がでこぼこしているのがコンプレックス。矯正治療を考えているが、この年齢だし気後れしてしまう」という相談がありました。この女性に限らず、多くの人から同様の相談を受けます。そんな時には、「もし、同年代の人が矯正治療をしているのを見掛けたら、あなたはどう思いますか?」と尋ねます。すると、ほとんどの人が「大人になってからよく決断した、偉いと思う」と答えます。矯正治療は決して恥ずかしいものではないのです。
 咬合(こうごう)の大切さを認識し、矯正治療を受けようという前向きな姿勢を隠す必要はありませんが、人知れず治療したいという希望も分かります。特に社会人で、接客業など日常的に多くの人に接する職業の人はそう考えるでしょう。また、思春期のお子さんが矯正装置を気にする心情も理解できます。そういう場合は、舌側矯正をお薦めしています。

舌側矯正について教えてください。
 歯の裏側、つまり舌側に矯正装置を入れます。表からは装置が目に付かないので、矯正していることに全く気付かれないという魅力があります。ただし、表側(唇側)からの矯正に比べると、発音が不明瞭、食事や歯みがきがしづらいという問題がありました。しかし、近年これらの問題点を改善した舌側矯正装置が開発されました。従来のものと比べて、非常に薄く、小さくなっています。話しづらい、食事がしにくい、舌が痛いといった、舌側矯正ならではの不快な点が、飛躍的に改善されました。人と話すことが多い職業の人や、口内の違和感に対する不安が理由で、今まで舌側矯正へ踏み切れなかった人にもお薦めできます。矯正治療の期間は、裏側でも表側でもそんなに違いはありません。
 自身の歯並びに気になることがあったら、心と体の健康のためにも、ぜひ一度矯正歯科医に相談してください。なお、特殊な病気による不正咬合以外は、一般に健康保険が適用になりませんので費用に関しても、事前に矯正歯科医に聞いてみると良いでしょう。