2008年2月13日水曜日

「物忘れと認知症」について

ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 医師

物忘れについて教えてください。

「物忘れが増えて心配」と外来を受診する人が増えています。脳ドックも、以前は脳卒中の予防が主な受診動機でしたが、認知症への恐れから受けるという方が増えています。今後ますます進む高齢化社会において、単に長生きするだけではなく、生活の質を維持したいと考える人が増えていると感じます。 「物忘れ」は誰でも経験があるものですが、問題となるのは「病的な物忘れ」です。「昨晩のおかず」が何だったか忘れてしまうことはあっても、食事したこと自体を忘れてしまうことは、普通の物忘れではまずありえません。認知症の場合、食事したこと自体を覚えていないのです。このような、「物忘れ」の質的変化が見られたら病気のサインと考えてください。病気が進行するにしたがって、判断力が低下し、次第に生活に支障を来すようになります。

治療、予防法を教えてください。

認知症を治す薬はありませんが、進行を遅らせる薬があるので、早い段階で認知症を発見し、投薬を開始することが重要です。外来では、まず問診をし、記憶や判断力のテスト、画像診断などを行います。一番重要なのは問診で、特に付き添いの家族からの情報が診断の決め手になることが多いのです。物忘れの回数が以前に比べて著しく増えている、物忘れの質が変化したなどという場合は、家族が異常を感じ取っていることがほとんどです。画像診断では認知症症状を起こすほかの病気を鑑別します。水頭症や硬膜下血腫などは認知症として放置されていることも多いのですが、これらは、手術による治療が可能です。アルツハイマー型認知症は脳の一部に委縮が起こるなど特徴的な所見があるので、軽い症状でも治療を開始する決め手になります。 認知症の予防策として、野菜や果物を積極的に取り、肉類より魚類を多く食べることが挙げられます。定期的な有酸素運動も有効です。生活習慣病の予防にもなりますから、ぜひ実践してください。加えて、体をよく動かし、他人とのコミュニケーションを持ち、心に適度な刺激を与えることも効果的です。