2007年6月27日水曜日

「かくれ脳梗塞(こうそく)と一過性脳虚血発作」について

ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 医師

かくれ脳梗塞について教えてください。

 脳梗塞は脳の血管が詰まって起こります。この結果、運動まひや言語障害などの症状が起こります。
 かくれ脳梗塞とは、症状のない脳梗塞のことで、正しくは無症候性脳梗塞といいます。頭痛や外傷など別の原因で受けたMRI、CTなどの検査で偶然発見される場合がほとんどです。症状が全くない場合もありますが、症状があっても、すぐに良くなっている場合などは本人が忘れている事もあります。かくれ脳梗塞に対して治療するか、そのまま様子を見るかは、脳梗塞の数や起こった場所、本人の健康状態、危険因子の有無などを考え、総合的に判断します。薬物による治療を考慮する場合もありますし、危険因子である高血圧などの治療をより積極的に行うことも必要です。現状では治療が必要ないと判断された場合でも、定期的な検査を受け、経過を観察する必要があります。

一過性脳虚血発作について教えてください。

 数分間から数時間で症状が回復する発作の一種です。原因は脳の血管が高血圧や糖尿病の影響などで動脈硬化が進んだ状態のときに、血流障害が起きてしまう場合や、心臓や頸部(けいぶ)などの血管から血栓が運ばれてきて血管をふさいでしまうために起きる場合もあります。
 はしや筆記具を落とす、手や足に力が入りにくい、片側の目が見えづらくなったり二重に見える、手や足、顔や唇にしびれが出てくる、ろれつが回らない、物事の理解ができない、めまい症状などが起こる場合もあります。
症状が治まってしまうため、軽く考えてしまう方が多いのですが、いずれ本格的な脳梗塞の発作が起こる可能性があります。前述のような症状があったら、ぜひ専門医で検査を受けてください。特に40代以上の人、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病の危険因子がある人、タバコを吸う方は、要注意ですので、脳ドックなど積極的に検診を受けてください。生活習慣を改め血圧などの数値管理を徹底する、ストレスや脱水に注意を払うなど、脳梗塞を予防する努力も大切です。

2007年6月20日水曜日

「ストレスと対処方法」について

ゲスト/五稜会病院 千丈 雅徳 医師

ストレスについて教えてください。

 精神的に負荷がかかることを「ストレス」といいます。精神を安定させたいと思う本能に反し、「ゆがみ」で心身にさまざまな反応が生じます。ストレスの原因は環境や人間関係、経済的、物理的なものまでいろいろあります。ストレスが蓄積すると、イライラや無気力、食欲不振、不眠、うつなどの精神的な症状、高血圧、胃潰瘍(かいよう)など身体的な症状が現れます。
 しかし、ストレスが無ければいいというものではありません。多くの人は日常的にストレスにさらされて生きています。ストレスがまったく無く、平穏で退屈な生活は、挑戦する意欲や困難を乗り越える喜びを感じることができません。人間は適度なストレスと向き合うことによって、刺激や緊張が生じ、張り合いや生きがいをもって毎日を過ごすことができるのです。大切なのはストレスといかに上手に付き合うかということです。

ストレスの対処方法を教えてください。

 ストレスによる心身の不調で受診した場合、安定剤などの投薬治療のほかに、悩みを分かち合うカウンセリング、対人交流のスキルアップを目指しての認知行動療法などを行います。認知行動療法では、どういうときにどういった心理状態になるかを自身で認識するため、日記をつけるなどして、感情のコントロールを身につけます。
 また、全国的な傾向として40~50代の男性患者が多くなっています。その背景には失業、リストラなど仕事や経済的な不安、将来への不安があります。失職あるいは休職している場合は、パソコン操作などスキルアップをサポートしつつ、同じ悩みを抱える者同士で話し合うなどの復職プログラムを行っています。エアロビクスやウオーキングなどの運動療法も心身の健康を取り戻すのに効果的です。このようなプログラムを実践している病院は、全国的に増加傾向にあります。回復のためには、医師や専門スタッフなどのアドバイスやサポートを上手に利用し、ストレスに対処する能力を身につけることが大切です。

2007年6月13日水曜日

「睡眠時無呼吸症候群と顎(がく)変形症」について

ゲスト/つちだ矯正歯科クリニック 土田 康人 歯科医師

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について教えてください。

 SASとは、眠っている間に、10秒以上の呼吸停止を繰り返し、深い睡眠がとれない病態をいいます。気道の閉鎖によっておこり、原因はへんとう肥大、アデノイド、気道に舌が落ち込む、舌が大きい(巨舌症)、下顎(あご)が小さいまたは後退している(小顎症、下顎後退症)などが考えられます。
 症状としては、いびきがうるさい、寝ているときに呼吸が止まり熟睡できない、そのため昼間に睡魔に襲われるなどです。昼に眠いと居眠り運転につながり、2003年にはSASが原因で山陽新幹線の事故がありました。また生活習慣病と合併する場合が多く、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症の「死の四重奏」にSASが加わると「死の五重奏」といわれることがあります。重症の場合、合併症のために約4割の人が9年以内に亡くなってしまうというデータもあります。このように、放置しておくと命にかかわる怖い病気です。

治療方法について教えてください。

 気道が閉鎖しないように、鼻にマスクを着けて空気を送り気道を広げる方法、へんとう肥大、アデノイドの場合はとってしまうなどの方法がありますが、根本的な治療法ではありません。
 矯正歯科の立場から、主に下顎後退症(小顎症)について説明します。下顎後退症は文字の通り、下顎が後ろにある状態で、気道が狭くなり、SASの原因となります。根本的な治療法としては、引っ込んでいる下顎を前に出す外科手術を行います。顎を手術しただけでは、きちんと歯がかみ合わないので、手術前後に歯をかみ合わせる矯正治療が必要になります。手術自体は比較的簡単なもので、口の中から行うので顔に傷がつくこともありません。
 下顎後退症は、反対咬合(こうごう)、上顎前突、開咬、顎偏位などの顎変形症と同様に、外科治療、矯正治療ともに健康保険が適用されます。ただし、道・市町村から指定を受けている医療機関でのみ保険適用になるので、受診の際は確認すると良いでしょう。

2007年6月6日水曜日

「肌のアンチエイジング」について

ゲスト/緑の森皮フ科クリニック 森 尚隆 医師

「アンチエイジング」について教えてください。

 日本語では「抗老化」という意味です。加齢や老化による衰えをできる限りコントロールし若々しい人生を送ろうという「予防医学」の見地からも注目が集まっています。
  肌に関するアンチエイジングは、さまざまなレーザー治療や光治療などが中心となります。近年のレーザー治療は、周囲の正常な組織に影響を与えることが少なく、出血や傷あとを最小限に抑えて異常な細胞だけを破壊し、選択的に除去していくことが可能になってきています。しかし、すぐにシミやあざが薄くなったり消えたりするわけではなく、繰り返し治療が必要になる場合もあり、治療後の適切なケアも重要です。

それぞれの治療について教えてください。

 シミやあざには、ルビーやアレキサンドライト、ヤグといったQスイッチ型レーザーが使われます。これらはそれぞれ特徴があり、単独よりも組み合わせで行うことでより治療効果が高まります。老人性色素斑や扁平(へんぺい)母斑などの茶あざ、太田(おおた)母斑や異所性蒙古斑などの青あざ、いれずみの除去などがその適用となります。単純性血管腫(しゅ)やイチゴ状血管腫などの赤あざには、血色素に吸収される特徴を持った色素レーザーが使われます。ただし、すべてのシミやあざについてレーザー治療ができるわけではありません。たとえば主に女性ホルモンの影響でできる肝斑(かんぱん)と呼ばれるシミは、レーザー治療によって濃くなる可能性が高いため、レーザーよりマイルドなフォトセラピーという光治療が効果的です。フォトセラピーは赤ら顔、小じわ、毛穴の開きなども同時に改善される総合的な治療で、絆創膏(ばんそうこう)などの保護も必要なく治療後、すぐにメイクや洗顔も可能です。
  ホクロやイボには、主として炭酸ガス(CO2)レーザーが使われます。水に吸収されるレーザー光で、周辺組織へのダメージは少なく、ホクロやイボの組織を蒸散させます。また、皮下の線維芽細胞を刺激することで皮膚の弾力に必要な真皮層のコラーゲンを増生させ、小じわや毛穴の開きを改善するレーザー治療もあります。ほかにも、黒い色素だけに反応する特殊な特性を利用して毛に多く含まれるメラニン色素に反応させ、毛根や毛包にダメージを与え発毛しづらくさせるのが医療レーザー脱毛です。
  これらは、設備の整った病院で専門的な知識を持つ医師のもと、症状に合った正しい治療を受けることをお勧めします。