2005年12月7日水曜日

「加齢黄斑変性」について

ゲスト/札幌エルプラザ阿部眼科 阿部 法夫 医師

加齢黄斑変性について教えてください。

 加齢黄斑変性は50歳ころから始まり、特に日本では男性に多い目の難病です。従来は欧米に多い眼疾患でした。ところが、1998年から福岡県久山町で行われた調査報告によると、累積5年発症率は0.8%とアメリカ、オーストラリアでの結果と同程度で、日本において増加傾向にある疾患と推定されています。この結果から、日本での50歳以上の人口の、30~40万人の患者数が見込まれています。
 黄斑とは眼底の中心部のことで、特に文字を読んだりするのに大事な場所です。眼球の中でも強い光を常に受け、最も新陳代謝が活発に行われています。加齢によって老廃物の処理能力が落ち、黄白色の塊(ドルーゼン)となって黄斑部にたまることから、この病気がはじまります。進行すると、さらに色素沈着や脱色素が起き、最後には出血によって文字が読めなくなってしまいます。加齢黄斑変性は、早期の軽症例(A:ドルーゼン・B:色素沈着や脱色素)と末期の重症例(出血を含む)に分けられます。久山町の調査結果によるとそれぞれ12.8%(A:9.6%、B:3.2%)、0.87%と報告されています。男女比は早期では差はないものの、末期では男性の方が3~4倍多いとの報告でした。以上の調査から、加齢黄斑変性の予備軍は10人に1人、重症例の有病率は100人に1人程度となります。

診察や治療法を教えてください。

 最近の蛍光眼底撮影や断層撮影の進歩によって、日本人の場合、出血の原因の30~50%はポリープ状の新生血管であることが特定されるようになりました。レーザーや手術、薬物による治療も、著しい進歩がみられるようになりました。また、これらの病変の進行防止には禁煙とビタンC・E、ベータカロチン、ルテイン、酸化亜鉛などの適度なサプリメントが有効という報告もされています。目の難病ではありますが、進行防止のためには早期の発見が重要となります。初期は見ようとする中心部が見えにくかったり、ゆがみがあったり、暗かったりしますが、片目から始まることが多く気が付きにくいようです。「老眼だろう」と決め付けず、見づらくなったら、眼科専門医で精密眼底検査を受け、確認することをお勧めします。